引越業者、どこに依頼する? (5) お得なの? 引越屋の付帯サービス

引越業者の選定は、1社目のアート引越センターであっさり決定した。

決定したからこれで話は終わりかと思ったが、ここからがまた長かった。
さすがはアートな営業、「ついでにこれもどうですか」という提案が延々あったのだ。

オーダーカーテンも引越屋に頼める

まず「カーテンはどうしますか?」という問いがあった。

これまで、カーテンは引っ越すたびにオーダーしてきた。妻が持病のため、紫外線をしっかり遮る必要があるためだ。なるべく隙間を作らないためにはオーダーが安心だし、生地もUVカットのものを確実に選ぶことができる。

今回、引越先のリビングが無駄にワイドスパンとなっており、天井も今より高い。今のカーテンは10年以上使ったので全部捨て、新しいカーテンを一式オーダーするつもりでいた。
そのことを伝えると、営業氏、待ってましたとばかりに「実は弊社でオーダーカーテンを扱っておりまして…」。
引越業者がカーテンを扱うのは不思議ではないが、正直、これまで聞いたことがなかった。

そのうちカーテンの採寸もしなきゃなー、でも10年前に頼んだ業者は店を畳んじゃったみたいだし――とモヤモヤしていたところなので、まさに渡りに船。
オーダーカーテンなんてどこに頼んでも似たような価格でしょうと思い、ついでにお願いすることにした。この選択が吉と出るか凶と出るか、それは追い追い書いていこう。

家電も売ってる!?

これで調子づいたのか、営業氏はさらに「家電」「ハウスクリーニング」と立て続けに紹介してきた。

家電については、引越を機に冷蔵庫の買い換えを考えていたので、ちょっと食指が動いた。
営業氏曰く、家電にとって移動は負担になるので、長持ちさせたいなら引越前に買って新居へ持ち込むより、新しいものを直接新居へ搬入するのがよい、当社なら引越日にあわせて搬入できます、大手企業の転勤サポートを請け負っているので通常より安く提供できます、云々。

またハウスクリーニングについては、家を売る前にプロの手で綺麗にしておきたいと考えていたので話を聞いたが、営業氏は「ダスキンとかに頼むよりは安いですよ」という程度の推し具合で、これといった特長はないようだった。

ひとまず各々の資料をもらい、その場で即答はしなかったが、家電についてはどう考えても量販店のバーゲン価格には及ばず、ハウスクリーニングも相見積もりで他社の方が割安と判明したので、最終的には頼まなかった。

結局、安いのか高いのか?

世の中の商売は全て「不便の解消」が目的だ、と聞いたことがある。
引越は不便の極みであり、「ワンストップで用を足せる」という利便性の提供は商売の王道といえるだろう。

宅配便も含めた物流、すなわち「物を運ぶ」という仕事は、重要度を増す一方で顧客には軽んじられ、価格面で厳しい交渉に晒されていると聞く。
そうした中、「引越のついでに○○」といった付加価値を提供して利益を確保するというアートのやり方は、真っ当な企業努力と言えるのではないか。

一方の消費者は、もし価格を重視するならば、面倒でも個々に専門業者に当たるべきである。
オーダーカーテンはアート引越センターの直営のようだが、ハウスクリーニングは外注のようだから、アート引越センター経由で頼めば中間マージンを余計に支払うことになるだろう。
特に単価の高いものについて、「ついでだから引越屋に頼む」のは「手間賃を払って面倒を見てもらう」ということである、という感覚を持っておきたい。