転居は固定費削減のチャンス! (6) 家賃もインターネット料金も固定費である

転居に伴う固定費の見直しについて、4分野にわたり書いてきた。

最後に、細かすぎて1本の記事にならなかった話を書く。

駅近物件は駐輪場不要

転居に伴い、駅前の駐輪場を解約した。

以前は毎日、3kmほど離れた主要駅まで自転車に乗り、そこから電車で出勤していた。
一時利用の駐輪場は9時前に埋まってしまうのが常なので、出勤時刻が比較的遅い私は定期利用の駐輪場を利用してした。

常にキャンセル待ちの人が待機している人気の駐輪場なので、一度解約すると、次に契約する際に1年ぐらい待たされる。なので、在宅勤務主体になってからも数ヶ月は、しぶしぶ月2500円を支払って契約したままにしておいた。
しかしコロナ禍も長期戦となってきたし、そうでなくても転居によって駅まで徒歩圏内となる。ということで意を決して解約した。

 

これ以上のオチはないが、解約して「困った」ということもない。
最悪、数時間100円で停めることはできるので、月2500円を固定的に支払い続けるよりは得だ。

行政サービスに差はないか?

アドレス、つまり物件の住所によって家賃が大きく変わるということは往々にしてある。
世田谷区か調布市か、町田市か相模原市か、練馬区か武蔵野市か西東京市か――実質的な利便性は変わらないのに、市境を跨ぐだけで家賃相場が有意に変化する例は簡単に見つけられる。

住所自体に価値がある

理由はいろいろあると思うが、最も一般的なのが「住所から受けるイメージ」ではないかと思う。
ギリギリ東京23区に食い込むのか、「都下」に甘んじるのか。ギリギリ東京都なのか、お隣の神奈川県なのか。
土地勘のない人が聞いたときにより良いイメージを抱くであろう住所。この、実体のないメリットを求める人はそれなりにいると想像される。

その他、時々聞くのが「校区で住所を選ぶ」という話。人気の公立学校に通うため、その学校の校区内に住みたいという根強い需要があるのだという。
この場合、市区町村レベルではなく「○○市の中の、さらに特定の地区」なので少し事情は違うが、住所自体に価値があるという点では似ている。

行政サービスなんて、どこも同じ?

我が家も「どの自治体に住むか」ということを非常に重視していた。
しかし理由は上述のものではない。一言でいえば「行政サービスの良し悪し」である。

正直、私自身、結婚するまでは「行政サービスなんてどこも同じ」と思っていた。
健康体で子供もいない20代独身が、市区町村から何か金目のものをもらえることは少ない。それはどこの市区町村に行っても同じことだ。

逆に税金を支払う方を考えても、ほとんど差はない。自治体によっては財政が厳しいところもあるが、夕張市ぐらい厳しくない限り、住民税の額は高くならない。時々「○○市は高級住宅街があるから住民税が高い」と誤解している人がいるが、そんなことはない。
20代独身が差を実感するのは、せいぜい「ゴミ袋が有料かどうか」ぐらいだ。東京23区は未だ任意のゴミ袋で燃えるゴミを出せるが、都下だとほぼ例外なく、燃えるゴミは市の指定ゴミ袋に入れないと回収されない。ただ、指定ゴミ袋から逃れるためにどうしても23区に食い込みたいという人は多くないだろう。

「弱者」へのサービスは、自治体によって大きく違う!

ところが、妻と結婚して息子が産まれると、広い意味での「弱者」に対するサービスは、市区町村による差が意外にあるのだと分かった。

分かりやすいのは子供に対する医療費の補助だ。
大体の自治体で小学生の医療費に補助が出ると思うが、隣り合った自治体でも、自己負担額が完全に無料なのか、1回数百円の自己負担が生じるのかという違いが生じている例がある。さらに中学生や高校生に対して補助が継続されるのかどうかもバラツキがある。
健康な子供の医療費を見積もるのは難しいが、自己負担額が安くて困ることはない。

最近だと、「高校無償化」「018サポート」「私立中学校等の授業料助成」と、立て続けに東京都が子供関連サービスで優位性を発揮している。
高校無償化は全国共通の制度だが、東京都はそれに上乗せした支給を行っており、所得が「中の上」程度の場合には、他の自治体と比べ3年間で100万円程度の差が出てくる。
さらに、18歳以下の子供に対し無条件で月5000円を支給する「018サポート」が2023年に始まった。「異次元の少子化対策」という掛け声ばかりで動きの鈍い国への当てつけか?と思うようなタイミングだが、なかなか大胆な政策だと思う。
そして、該当者が少なくはなるものの、2023年度から、私立中学校に通う生徒に対して授業料の助成が始まった。高校無償化と同程度の所得制限はあるが、年間10万円が補助される。
これら3点セットを見せつけられると、頑張って相模原市(神奈川県)から町田市(東京都)へ、戸田市(埼玉県)から北区(東京都)へ食い込みたいと考える人が出てきてもおかしくない。

子供だけではない。難病や障害があると、市区町村ごとのサービスレベルはさらに差が大きくなる。
見舞金が毎月出るかどうか、タクシー券などの補助があるかどうか――私はかなりの市区町村の制度を調べたが、市境を越えるだけで月額1万円以上の差が出ることもある。

医療費補助はさておき、学費の補助や難病手当は固定的にもらえる。いわばマイナスの固定費である。該当しそうな(お金がもらえそうな)制度があれば、自治体ごとの金額の差をきちんと把握しておきたい。

総括:固定費は家賃と同列に考えよ

以上、転居に伴って見直した固定費について紹介してきたが、最後に総括する。

インターネット回線に関しては、たまたま私の転居先が「インターネット無料」だから削減できたわけで、決して一般的とはいえない。この記事を読んで「よーし、ウチもインターネット料金を節約するぞ」と意気込んだところで、それを実現できるかどうかは転居先による。
駐輪場の件もまたしかり。完全に私たちに固有の事情であって、一般読者の参考にはならなさそうだ。

しかし、「インターネット無料」「駅まで徒歩圏内」といった物件の特性を金銭に換算し、家賃と同列に扱って検討する――このような発想には一般性があるのではないか。
つまり「駅に近くてインターネットが無料の賃貸住宅」を「家賃の中に、インターネット回線の使用料と駐輪場代が含まれている住宅」と考える。これにより、「見かけの家賃は高いが、固定費全体で考えると、実はそれほど高くない」と判断できるケースもあるのではないかと思うのだ。

 

住居費も電気代も駐輪場代も、家計簿の上ではすべて固定費だ。
住居費が高くなる代わりに他の固定費が安くなる。
逆に、住居費が安くなる代わりに他の固定費が高くなる。
このような効果は、家探しの段階で考慮しておくべきではないかと思う。