大事だけど、連れていけない子たち

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家賃は上がるが、部屋は格段に狭くなる。
なかなか厳しい引越であるが、贅沢は言っていられない。

そこで、引越を機にモノを減らすことを心がけた。

――と偉そうに書いているが、大して減らすことはできなかった。元来、私は貧乏性で、モノを溜め込むようにできているからだ。
さらに、英語で表すと「it」だが心情的に「it」じゃない子たちがいて、その処遇には心を痛めた。

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デスクトップパソコンの代わりにiPad、意外と困らない

まず、リビングにあった妻のデスクトップパソコンを私の部屋に移した。この際に私の安物デスクを捨てたので、物を置く面積はずいぶん減った。
妻は一時期かなり真面目に株式投資をやっていたため、液晶モニタが2台あった。1台は息子に、もう1台は知人に譲った。ここでも総量を減らすことができた。

妻はデスクトップパソコンの代わりにiPadを買ったのだが、これが意外によかった。
まず、純正のSmart Keyboardを奢ったため、文字入力が思ったよりスムーズだ。「他人のパソコンを借りて、慣れないキーボードで文字を入力する」程度のぎこちなさで済んでいる。(ただ、妻は打鍵感が嫌いだというので、後に外付けキーボードを買った。)
それでいて、圧倒的に軽くて小さい。持ち運んで部屋のどこでも使えるし、使わない時には本棚に入れておけば、小学校の教科書1冊程度の薄さで済む。どうりでノートパソコンが売れないわけだ。

唯一といっていい困り事が、DVDやBDを見る手段がなくなってしまったことだ。学校行事の様子を収録したBDが配布されても、居間で見る術がない。
ただ、これもそのうちネット配信になるような気はしている。そして中学校に進学した途端、BDどころか写真もろくに配布されなくなった。ということで問題は発展的に解消した。

初挑戦のメルカリが大ヒット

そして、大活躍だったのがメルカリだ。
不要と判断したものを片っ端から売りさばいたのである。

実は私、ヤフオクは前から利用していたが、メルカリは何となく敬遠していた。大した理由はない。いっときの流行に乗りたくないという気持ちが大きかったかもしれない。
しかしメルカリの勢いは止まらず、特に衣服はメルカリの取引量が圧倒的である。重い腰を上げてアカウントを作った。

まずはサイズアウトした子供服から出品を始めた。すると、ブランドもののアウターなどは結構な値が付くと分かった。
最初期にTHE NORTH FACEのウインドブレーカーを売り出した。控えめな値付けにしたところ、わずか数十秒で購入されて驚いた。おそらく相場よりだいぶ安かったのだろう。その後は念入りに価格調査を行うようにした。
Tシャツなどは二束三文だが、それでも捨てるよりは良い。
その後、妻が(主に結婚前から)持っていたバッグやアクセサリを売り出した。これも古いのに結構な値で売れた。中には売り値6桁で成約したものもあり、相手の受け取り評価がつくまで落ち着かなかった。

「レゴ長者」ならず、ほぼ無償譲渡

そして、子供のいる世帯では必ず問題になるであろうオモチャ類。これらは、息子が学校へ行っている間にバッサリ処分した。
ただ、処分するにはあまりに目立つものもあり、そういうものについては一応本人の同意を得た。

処分したものの筆頭がレゴである。

息子流、レゴの遊び方

息子は一時期レゴに凝っていて、セットものをいくつも持っていた。総額でいうと10万近くになっているかもしれない。

ただ、凝っているわりに本人は組み立てに熱心でない。いや、正確には、マニュアルどおりに組み立てることが好きでない。
買った当初に私がマニュアルどおり組み立て、しばらくはその状態で遊ぶ。しかし徐々にそれは解体され、別の物体に変形して二度と元に戻らない。
ダイヤブロック世代の私に言わせれば、それが本来のブロックの遊び方だ。最近のレゴは、ある物体に特化した妙な形の部品を、取説どおりに組み上げることを求める傾向にある。が、これは創造性を養うという点でどうかと思っている。
しかし、ブロックの表面にマジックでペイントを施すという息子のカスタムは、そんな親の想像をも超えている。

一応、売れるように準備しておいたが……

閑話休題、レゴはかなりの場所をとっていた上、一旦散らかると片付けが非常に困難。掃除機をかけると必ず小さいパーツを吸い込んでしまう。最近は遊ぶことも減っていたため、息子を説得して諦めてもらった。

今はどうだか知らないが、一時期、レゴのセットものは発売されるとすぐに売り切れていた。その結果、Amazonなどでは定価より高く販売されていた。これは投資になるのでは?などと思ったほどだ。さすがに投資目的で新品を買い、未開封のまま保管しておくようなことはしなかった。が、中古であってもそれなりの値段で売れるのではないか、と購入当初は思っていた。
しかし実際には、パーツは散逸しているし、落書きされたパーツもある。メルカリで売るにしてもジャンク扱いだ。購入時点ですでにプレミアがついていた高価なセットもあったのだが。

レゴマニアに引き取ってもらえれば本望

ただ、真のレゴマニアはとにかくパーツの数が欲しいだろうし、セットものを買わないと手に入らない珍しいパーツも歓迎されるはず。安値であれば需要はあると見込んだ。捨てるよりはそういう人に活用してほしい。
パーツを全部1つの段ボールに詰めて、かなりの低価格で出品した。送料と手数料を引くと100円も儲けが出ないような価格をあえて設定した。
予想どおり一瞬で買い手がついて、レゴは第二の人生をスタートすることになった。ただ、将来プレミアがついた時のためにと保管しておいた外箱は、さすがに処分した。

この一件で思ったが、不用品をメルカリで売るというのは、必ずしも儲けたいからではない。まだ使えるモノを捨てるという罪悪感から逃れたいから、というのも大きな理由のように思う。

そしてここから先は、罪悪感から逃れるために神仏に頼った話。

人形供養

私も妻も、かなりのぬいぐるみ好きである。
本能のままに買って(飼って)いたら大変なことになるという自覚があるから、滅多なことでは買わないようにしている。が、それだけに家にいる子たちは皆かわいい。

しかし、家のサイズが3分の2になる以上、この「聖域」にも手を付けざるを得ないという話になった。
物理的には間違いなく「燃えるゴミ」である。しかし心情的にそれはできない。

悩んだ末に選んだのが「人形供養」である。
お寺へ連れて行く余裕すらないのだが、幸い、「宅配便で送れば供養します」というお寺がいくつか見つかった。検索すればいろいろ出てくると思うので、特に具体的なお寺を紹介することは控える。

10体ばかりを残して、あとは断腸の思いで供養に出すことにした。
発払いの送料のほか、供養料ももちろん必要だ。しかし、これを支払わないとぬいぐるみ達にも申し訳ない。

庭に眠る飼い猫

そしてもう一つ、頭を悩ませていたのが、元・飼い猫である。

ほんの一時期、子猫を飼っていたことがある。若くして病気で亡くなってしまったので、火葬の上、遺骨を庭に埋めて墓地を作った。
これをどうするか。特に骨壺のようなものは用意しなかったので、骨は散在している。さすがに庭の土を全部持っていくわけにはいかない。さらに、墓標代わりに置いた猫の置物も、屋外に置いてあったから今さら屋内には移せない。庭のない新居では置く場所がなさそうだ。

困ったので、火葬をお願いした動物霊園に相談した。すると、猫の置物を供養することで十分なのではないか、との回答であった。
地鎮祭のように、庭までお坊さんに来てもらうのかと思っていたが(神社とお寺の区別もついていないような例えで恐縮)、それには及ばないらしい。

これを聞いて早速お寺にお参りし、永遠の子猫は、その思い出だけを連れて行くことにしたのだった。

 

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