転送されない「お荷物」たち。宅急便やメール便の転居対策

  • 宅急便やネコポスの「転居時無料転送」は終了。ネコポスは有料での転送も不可
  • 転居直後の通販、転居直前のふるさと納税などには特に注意!
  • 前の住人あてのダイレクトメールは、差出人に停止をお願いするのがベスト

前の記事では、「転送してもらえる」郵便物の話をした。

しかし、本当に悩ましいのはここから。日本郵便以外の配送業者が運んでくる荷物は、転居届を出しても転送してもらえない。

いやいや、ヤマト運輸の「宅急便」にも転居時の無料転送サービスがあるよね?と思った方。確かに昔は「あった」。つまり今はない(新規受付はしていない)。
私自身は体験したことがあるので、本記事に記録として書き残しておく。

大きい荷物の送り先を間違ってしまうケースとは?

宅急便のような大荷物が誤って旧住所に送られるということは稀だ――と思っていたが、実は、可能性としては結構ある。

  • 不注意で、通販で買った商品の送り先を旧住所にしてしまった
  • ふるさと納税の返礼品が寄付の数ヶ月後に届く場合に、寄付時点での住所に送られてしまった
  • 証券会社の住所変更タイミング(→株主名簿の住所変更タイミング)が遅く、株主優待の商品が旧住所に送られてしまった

どれも、私が実際にやらかした案件である。いや、2点目は事前に察知して連絡を入れたんだったか。ともかく、油断しているとやりかねないということだ。

旧居が空き家ならまだよい。旧居に別の人が入居していて、しかも玄関に表札を出していなかったらどうか。
素直に「これは私宛の荷物ではありません」と申告してくれればいいが、他人の手に渡ってしまう可能性は結構あると思う。特に、宅配ボックスに入れられてしまうと、誤って他人が開封する可能性が上がりそうだ。

早めの住所変更しか対策はない

対策としては、種々の住所変更手続きを早急に済ませるということに尽きる。

証券会社の住所変更は転居後すぐやったと思うのだが、某ビール会社から「お届けできなかったのですが」と電話が来た。タイミングが悪かったのだろう。しばらくして無事に新居へビールが届いたが、危ないところだった。
また、ふるさと納税の返礼品は盲点である。引越時点で届いていない返礼品があれば、忘れずに新住所を申告しておきたい。返礼品が果物で届くのが半年後――などという場合には特に注意がいる。

惜しい! 宅急便転居転送サービス、2023年5月末で新規受付停止

さて、ここからは同じ宅急便でも別の話題。

郵便物について、転居後1年間の転送が可能であることはよく知られている。
実は、ヤマト運輸の宅急便等にも、同様のサービスがあった。しかし2023年5月末で新規受付は停止されてしまった。無料サービスとしては過剰という判断だろうか。

その結果、転居直後にありがちなミスの代償は大きくなった。
自分を含め、同じミスを繰り返さないよう、転居直後にやらかした話を書いておく。

転居直後の通販は要注意

いつもの調子で、本を通販で買った。出荷のお知らせは来たので、今日あたり届くはず……と思っていたのに、いっこうにその気配がない。
宅急便だったので、追跡番号を入力して調べてみたら、見事に旧居へ配達されていた。ステータスは「配達中」、今まさに本が空き家へ向かっているところだった。

原因は明らかだ。通販サイトの登録住所を更新せずに注文したため、古い自宅住所宛に発送された。それだけである。

無料で転送してくれるの!?

さあ困った。
大きな荷物ではないから、旧住所担当の宅急便センターで保管しておいてもらい、都合のいいときに取りに行く。これがヤマト運輸に最も負担を掛けない選択肢だ。
しかし宅急便センターが遠い。今の家から宅急便センターまで約10kmある。自転車にしろ電車にしろ、片道1時間近くはかかる。
送料がかかってもいいから新住所に転送してくれないだろうか? しかしどうやって身元確認するのか……

ダメ元で宅急便のコールセンターに電話したところ、事もなげに「では新住所に転送しますね」と言われた。何か個人情報を伝えたのだったか、それは忘れたが、転居したということは信用してもらえたようだ。(あとで考えたら、クロネコメンバーズの住所変更はしていて、新住所の認証も終わっていたので、それで信用してもらえたのかもしれない。)
そして驚くべき事に、追加の送料を払うことなく転送された。10km先まで取りに行く手間もなく、所要日数はプラス1日で済んだ。これが日本最有力の運送会社のサービスか!と久々に感動した。

ネコポスだったら一発アウトだった

あとで気付いて冷や汗をかいたのだが、今回買ったのが厚めの本(宅急便)でよかった。これが薄めの本(ネコポス)だったら、最悪、旧居のマンションの管理人に頼み込んでポストを開けてもらう必要があった。

宅急便は、上記のとおりコールセンターに依頼して、その都度転送してもらうことができる。
しかしネコポスは原則、転送ができない。(後述の「前もって全荷物を転送依頼」するサービスのみ転送可能だった。)

考えてみれば当然だ。ネコポスは、ポストに投函したらそれで配達完了というサービス。だから基本的に「不在のため持ち戻る」ということがない。そしてポストに投函した時点で、ヤマト運輸はその荷物を取り戻せない。

もちろん、タイミングがよければ物理的には対応可能なこともある。配達前に申し出があったとか、ポストが一杯で持ち戻ったとか。もしかしたら、ポストに書いてある名前と宛名が不一致のため持ち戻るというケースもあるかもしれない。
公式ページによると、例外的に「不在票投函時のみ、担当営業所での受け取りが可能」となっている。文字どおり解釈すると、「運良く投函せずに持ち戻った場合でも、転送はしないので営業所まで取りに来てください」ということになる。

当時は「前もって転送依頼」もできた

閑話休題、早速「無料で転送してくれた」という事件を記事にしようと思い立った。
前振りとして「宅急便には郵便のような転送サービスはない」と書こうと思い、裏を取ってみたら――えっ? 転送サービス、あるの?

当時は「宅急便転居転送サービス」というのがあった。(そのうちリンク切れすると思われる。)
サービス内容は日本郵便の転居届と同じだ。一旦申請しておくと、旧住所に届いた荷物を1年間は自動で新住所に転送してくれる。そしてこちらも無料。
宅急便のほか、ネコポスとEAZY(通販等で利用されている)も転送してくれる。前述のとおりネコポスは原則転送不可なのだが、前もって言っておけば対応できますよ、ということだ。気が利いている。ダイレクトメールでよく使われるクロネコDM便は対象外とのことだが、実用上は十分、などと言うのも偉そうだ。無料なので何の文句も言えない。

このサービス、申請後の認証方法が面白かった。
ヤマト運輸に申請を出すと、あえて旧住所宛に郵便物が送られる。これが日本郵便の転送サービスによって新住所に転送される。それを(新住所で)受け取ったよ、と申告すれば認証OKとなり、宅急便の自動転送が開始される。
つまり「転居した事実」の認証は日本郵便に丸投げしているわけで、よく考えてるなと思った。

無料転送は終了しました

こんなサービスがあったのだが、記事執筆のため再度調べたところ、2023年5月末で新規受付が終了していた。

このサービスは、旧住所宛の荷物を「自動で」転送するというものだ。いちいち電話をかけて「手動で」転送をお願いする際の扱いはまた別である。
が、念のためと思って調べたら、予想は的中。個別に転送をお願いする際も、今後は送料をいただきます(着払いで新住所へ発送します)、とのことであった。

調べてみたら、上記のニュースは多くの通販サイトでも「拡散」されていた。通販で、商品の送り先を間違える顧客が一定数いるということなのだろう。

転送が有料とは世知辛いと捉える向きもあろうが、確かにサービス過剰ではあると思う。むしろ、これまでもこれからも、当たり前のように無料で郵便物を転送してくれる日本郵便が太っ腹というべきであろう。
日本郵便は、郵便物のみならず、ゆうパックも含めて無料で転送してくれるようだ。しかしこれも、この先どうなるかは分からない。業界最大手が有料化に踏み切ったことで、早晩、ゆうパックに限り有料化するのではないか。

以上のとおり、2023年5月まではしくじっても無料で対応してもらえた。しかし今後は、宅急便の送り先を間違えると自腹で転送してもらうか、旧住所の宅急便センターへ取りに行くかの2択となる。くれぐれも注意したい。

クロネコメンバーズのサービス活用で何とかならないか?

自宅宛となっている荷物の受取場所を、コンビニや取扱店、ヤマト運輸の営業所に変更できるサービスがある。このサービスは依然として無料である。そしてこの場合、変更先は自宅付近でなくてもよい。
これを利用すれば、旧居宛の宅急便を新居近くの店舗まで無料で運んでもらうことが可能なように見える。

ネット上で試したところ、元々の宛先から半径150km圏内の地点を指定できるようだ。(23区宛の荷物を菅平高原のセブンイレブンでも受け取れるとな!)
よほど遠くへ引っ越さない限りは対応できそうである。

実際には使えなさそう

ただ、実際にはなかなか難しい。
というのは、「クロネコメンバーズ」に登録の上、登録した住所を旧住所のまま保っておかないとこの手は使えないからだ。(クロネコメンバーズにログインしない状態では、自宅の担当営業所への留め置きしかできないようだ。)

クロネコメンバーズは現住所の登録が必要だ。そしてコンビニへの転送ができるのは「送り状の住所氏名=クロネコメンバーズ登録の住所氏名」の場合に限られる。つまり、クロネコメンバーズの登録住所を新住所に変更してしまうと、旧住所宛の宅急便については、コンビニへの転送ができない
それを見越して、クロネコメンバーズの登録住所をしばらく修正しないという手もある。しかしこの場合、新住所宛の荷物はコンビニへの転送などができない。また、旧居に別の人が入居し、ヤマト運輸が「あっ、住人が変わったな」と認識したら、「こいつのクロネコメンバーズの登録住所は古い、あてにならない」ということがバレてしまい、登録解除となる可能性がある。

ということで、この方法は思考実験の域を出ないと思う。

メール便のダイレクトメールが大問題

話は変わって、主にダイレクトメールで使われるメール便の話。

「クロネコDM便」などのメール便の類は、郵便物に似た形態だが、転送というサービスがない。さらにポストに投函して終わりだ。郵便受けに名前を出しておかなければ、ほぼ間違いなく誤配される
目下のところ、これが一番頭の痛い問題だ。

業界でかなりのシェアをとっていたと思われる「クロネコDM便」が、2024年2月に「クロネコゆうメール」に生まれ変わった。要するに「ヤマト運輸にDMを差し出すと、これを日本郵便が配達する」ことになった。こうなると郵便局に提出した転居届が生きてくる。つまりDMの誤配のうち、相当数は解決した可能性がある。

個人情報が漏れる!

転居先に、前の住人宛のメール便が来る。これも地味に面倒な話ではある。
しかし本当に嫌なのは、自分宛のメール便が前の住所に届き、後に住んだ人の目に触れることだ。
開封しないまでも前の住人(私)の氏名はバレる。DMの差出人によっては「ハハーン、小学生の息子がいたのだな」などと家族構成までバレてしまう。

根本的な対策は能動的なオプトアウト、すなわち広告主に「もう送らないで」と頼むことだ。
しかしそれにも限界がある。どこからDMが届くかなんて予測不可能だからだ。どうしたものかと思う。

前の住人宛のDMを止めるには

さて、他人宛のメール便を誤配される側の話。
クロネコDM便であれば、誤配された書類はヤマト運輸のドライバーに託せる。しかし中小の配送業者だと「誤配だから取りに来て」とも言えない場合がある。黙って捨てても実害はなさそうだが、ちょっと良心が咎めるし、根本解決にはならない。

配送業者に連絡することも手段の一つだが、再発防止に有効かどうかは分からない。
最善の方法は差出人に直接連絡することだ。広告主に「二度と送らないでください」と申告する。手間ではあるが、これが最も確実な方法だと思う。私は転居後に3~4回これをやったが、効果はてきめんだ。

一例として、文字どおり毎日のように(前の入居者へ)DMを送ってきていた某不動産会社がある。フリーダイヤルに電話をかけて、「宛先の人は引っ越していて不在です」と言った。すると、1週間もしないうちに完全にDMが止まった。素晴らしい。あれから1年経つが、本当にゼロである。
こういうところで会社を見る目も変わってきたりするので、申告があった場合には、広告主各社ともきちんと対応してもらいたい。

 

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