契約締結後の「無料キャンセル」、どんな理由があり得るか?

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  • 売買契約を締結した後、もらった手付金を返さないといけない場面は?
  • 「ローン特約」があると、ローンの審査落ちで「無料キャンセル」になってしまう
  • 契約解除になった場合、貼った収入印紙は無駄になる

前の記事に書いたとおり、無事に売買契約が済み、手付金として実際に500万円を手にした。
これで、よほどのことがない限り契約が解除されることはない。

買主の自己都合でキャンセルされた場合、500万円は返金しなくてよい。ただし、その代わり仲介手数料は発生する。そういう契約だ。
「それでも解約したい」と買い主が言ってくれば500万円が入ってくる。そして家は引き続き自分のものだ。そこで、この500万円から仲介手数料を引いた残金を原資に多少値下げして、早々に売り抜けるということも可能だ。

しかし私は心配性なので、どうしても「万が一の場合」を考えてしまう。

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ローンが通らなければ「無料キャンセル」の可能性あり

たとえば、買主のローンが承認されなかった場合、今回の契約はチャラになる。
今回、予備審査は複数の銀行で通っているという。しかし本審査が通らない、あるいは満額融資NG(減額すればOK)、といった可能性はゼロではない。

また、盲点として「団信が通らない」という例もあるという。
「金を借りた人が死んだら、生命保険で返済する」というのが住宅ローンの基本だ。そのために借り手は団体信用生命保険(団信)に入らされる。しかし、持病があるなどすると生命保険に入れず、したがってローンも承認されないという例が時々あるのだそうだ。
買い主には実際に会ったものの、さすがに健康状態までは分からない。一抹の不安が残る。

これらの理由で契約がキャンセルとなった場合、500万円は返さないといけない。つまり「無料キャンセル」である。
補足すると、ローンの承認が下りないことによるキャンセルも、原則としては手付金返還なし、仲介手数料発生となる。ただ現実には、ローンの不承認を理由にキャンセルする場合に限り手付金は返還、仲介手数料も発生しないという、いわゆる「ローン特約」が盛り込まれている場合が多い。実際の契約書を見ないと何とも言えないところである。

印紙税は取り戻せない

契約が白紙撤回となるだけなら、気を取り直して売却活動を再開すればよい。しかし、1つ取り戻せないものがある。
印紙税だ。

今回の売買契約締結にあたっては、買い主との間で契約書を取り交わし、双方各1通を保有している。

契約書には売買金額が入っているので、相当額の印紙税を支払わねばならない。
具体的な印紙代を書くと契約金額が大体分かってしまうので略すが、私の日常生活からして結構な額である。
調べたところ、これでも政府の軽減措置(不動産の譲渡に関する契約書に限った特例)により減免されているようだ。軽減措置がなかったら、と思うとゾッとする金額である。

もし今回の契約が白紙撤回となった場合、契約書に貼った印紙代は無駄になってしまう。

契約書に印紙を貼った後、その契約が無効になった場合には、印紙税は返ってこないの?
誰しも思う疑問だが、正解は「返ってこない」。

「契約書を作成した後にその契約が解除・取消されたものや、既に交付された領収書、手形などは還付の対象となりません」とある。

もちろん、物件の価格と比較すれば微々たるものではある。
しかし、契約がフイになってしまったという徒労感と相俟って、売却活動のモチベーションが下がることは必至だ。

他にもある、契約解除の可能性

その他、自然災害や火災などで「売り物」に傷がついた場合などにも契約解除の可能性がある。
幸い今は台風シーズンではないが、何事もないことを祈らずにはいられない。

などなど、考え出すときりがない。

「手元に500万円ある」と考えると財布の紐も緩みがちである。が、まだ手をつけるには早い。

それは分かっているのだが、家賃とローンの二重払いが着実にキャッシュフローを痛めつけている現状では、この500万に手をつけないと、かえって面倒なことになる。

「万が一」がないことを祈りつつ、500万円で月々の住宅ローンを返済する生活がしばらく続く。

ローン本審査完了!

大型連休の最中、何気なくパソコンに向かっていたらメールが来た。

差出人は不動産屋だ。
1ヶ月前なら「おっ、また内見が入ったか」と思うところだ。しかし今は、すでにそれが懐かしく感じられる。

読んでみると、買い主のローンの本審査が通ったという。
よかった。
これで、買い主都合による「無料キャンセル」の線はほぼ消えたといってよい。

残るは災害、放火等で「商品」が傷つくことだ。
こればかりは私の力ではどうしようもないので、早く買い主に引き渡してしまいたい。
幸い、今は春。気候は穏やかで台風などの災害リスクも比較的小さい。そこまで考えて販売活動をしていたわけではないが、いい時期ではあると思う。
しかしそれにしても、デリケートな「商品」をいつまでも自分の責任で抱えているのは気が休まらない。どうせ買ってくれるんだったら1日も早く買ってほしい、というのが偽らざる気持ちだ。

 

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