ついに売買契約締結! 買い主との初顔合わせ

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  • 売買契約締結に先立ち、「物件状況等報告書」の作成が必要
  • 固定資産税は日割り精算ということが当日知らされた
  • 仲介手数料を振り込んだら、必ず証拠をとっておくこと

4月某日、売買契約締結のため、朝から不動産屋に出かけた。

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「自宅の履歴書」が必要

契約に先立ち、いくつか必要書類があった。もちろんこれらは事前に揃え、不動産屋に送ってチェックしてもらっていた。その中で一番重要だと思ったものの中身を簡単に紹介したい。

具体的には「物件状況等報告書」という書類である。
「商品」である我が家について、問題になりそうなことを洗いざらい書かされる。いってみれば「自宅の履歴書」である。
フォーマットは業界団体が制定したものを各社とも使用していると思われる。
いくつか迷った項目があったので、不動産屋に聞いた「模範解答」とともに紹介する。
もちろん、物件ごとに模範解答は異なる。実際の記入時にはあらためて不動産屋に確認していただきたい。

  • シロアリの害……先日の建物検査でOKが出たので「検査済み」でよい
  • 隣家との境界……隣家を含め比較的新しい分譲地のため、権利関係はクリアと判断し、取決め書「無」、紛争「無」、境界標「確認できた」でOK
  • 土壌汚染……特に情報がなければ「無」でよい
  • 近隣との申し合わせ事項……町内会の会費、班長の持ち回り制などについて説明

オジサン3人で契約締結

予定より10分早く着いたため、奥の「契約部屋」みたいなところで待機。すると、数分後に買い手の方がやってきた。

素性はよく分からないが、オジサンであった。
(自分もオジサンだよ)
鞄から文庫本が違和感なく出てくるあたりが渋い。
私の鞄なんて、無造作に突っ込んだエコバッグがはみ出そうになっている。

机上には、担当者の宅地建物取引士証が置いてあった。
誕生日を見て、この人もオジサンだ!と確認する。

以後、オジサン3人で重要事項説明書、契約書の通読を行い、捺印となる。
ここで双方の住所氏名が開示される。さすがに、相手の住所氏名を見た瞬間に「ははーん」と思ったことはなかった。しかし、帰宅してからのリサーチで「うーむ」と思うことはあった(後述)。

固定資産税は日割り精算という契約

以下、個人的な発見を何点か書き残しておく。

まず、固定資産税(都市計画税含む)は日割りで精算するという契約内容になっていた。
個人間の契約であるから如何様にも取り決めできるのだが、この業界の慣行として日割り精算するのだろう。
確かに、今の家を購入した際にも、デベロッパーに対し日割りの固定資産税相当額を支払った。

念のため書いておくと、固定資産税は1月1日時点での所有者に賦課される。
そのため、年の途中で土地や建物の所有者が変わっても、その年の固定資産税は前の所有者が全額支払わねばならない。
しかし、実際に住んでいないのに固定資産税だけ払い続けるのは変だ。ということで、新しい所有者は固定資産税の一部に相当する額を前の所有者に支払い、埋め合わせをする。

以上の趣旨は理解できる。しかしあくまで、売り手が買い手にお願いしてそういう契約に「してもよい」というだけであり、今日まで私は、そういう契約内容で事が進んでいるのを知らなかった。
昨年12月中に家が売れなかったので、「あーあ、固定資産税が1年分発生したよ」と秘かにガッカリしていたのである。

今回の場合、引き渡し予定日が6月なので、半額強は返ってくることになる。
売買代金からすると誤差の範囲だが、結構大きい。印紙代や登記費用を補って余りある。

どうしよう「特定保守製品」

次。契約書の別紙に含まれていて「やばい」と思ったのが「特定保守製品」である。
製造後何年か(典型的には10年)経過した時点で有料の点検を受けることが努力義務とされているのだが、全く受けていない。
あとでこっそり不動産会社の担当者に確認したら「別に大丈夫ですよ」と言ってはいたが、ちょっと後味が悪い。
特定保守製品とその点検については別ページにまとめた。

私は両手取引の被害者だった(推定)

そして最大の発見はこれ。
今回の取引において、私が一方的な敗者であった可能性が高いということだ。

帰宅後に探りを入れてみたところ、契約相手の勤務先がいとも簡単に判明した。
聞いてびっくり、不動産会社と同じグループの企業であった。
つまりA商事に勤務するオジサンが、系列のA不動産を通じて家を買ったということだ。

A商事のオジサンがA不動産を利用することは何ら不思議ではない。仲介手数料の優遇などもあるだろうから、むしろ利用するのが自然だ。

一方、A商事グループに囲まれた私はどうか。考えすぎかもしれないが、結果的に不利な戦いになったのではないか。
今回、A不動産は「私」「オジサン」の双方と媒介契約を結んでいる。いわゆる両手取引である。
一般的に両手取引は、価格交渉という点で顧客に不利となる。以下の記事で述べたとおりだ。

かりに価格交渉が全く機能しないとすると、成約額は高くなる方向だと思う。その方が仲介手数料が高くなるからだ。その意味で、両手取引は買い主にとって不利といえる。
しかし今回、買い主はA不動産の仲間。つまり買い主と不動産会社はグルといってもいい。A不動産は買い主の肩を持ち、売り主に厳しい価格交渉を迫ってきていたのではないか?
価格交渉の際の話は以下の記事にまとめたが、「買い主が独自にリサーチし、この価格でないと割高だと言うんです」云々という説明が、単なる作り話だったという可能性が出てきた。だとしたら恐るべし、嘘八百の不動産業界。

現金は即座にATMへ……入れるのも一苦労

捺印が終わったところで、いよいよ手付金500万円の授受となる。
記憶する限り、500万円を現金で扱ったことはこれまでにない。

買主から、帯封つきの100万円が5つ、差し出された。
厚切りのステーキでもこの厚さはないだろう、という程度の厚み。

不動産屋に備え付けのコンパクトな計数器で念のため確認し、過不足ないことを確認。

数え終わってバラバラになった1万円札は、元の帯封を使って再び札束になった。
帯封は、破らなければ再度使えるということを知った。
「帯封つきだから安心」というのは幻想だな。

ともかくこれでやるべきことは終わった。
買主はこの後ローンの相談があるということで、私だけ離席することになった。

紙幣50枚までしか入らないATMに50枚ぴったりを入れるライフハック

離席後、真っ先に銀行のATMに向かう。

手近な場所にあり、手数料無料で預入できるのがセブン銀行のATMだったのだが、紙幣は50枚までしか扱えないという。

といっても、ATMを前にして札束から50枚を数えて抜き取るというのは、目立つから避けたい。
1束ならともかく、5束もあるのだ。

仕方なく、半分よりやや少ないと思われる量をATMに投入し、あと何枚入るかを画面で確認。不足分だけは仕方ないから手で数えて追加投入し、預け入れ。
残った50万円はそのままATMへ投入できるので楽だが、これを5セット実行すると、贅沢な悩みではあるが疲れる。

そのうち、ギリギリ50万円を目指そう!などと欲が出てきた。が、素人だけにうまくいくはずもなく、数枚入れ過ぎてしまった。
ところがATMは結構親切で、50枚をオーバーした部分だけ返却してきた。おっ、これは楽ではないか!
半分よりやや多い量を投入し、入れ過ぎた分は回収して次のターンに回す。これが最適解ではないかと思う。

仲介手数料の振込、証拠は必ずとっておくべし

無事に500万円を預金口座に入れたので、その一部を仲介手数料に充てることにし、不動産屋へ振り込む。
幸い、不動産屋の指定口座と同じ銀行に口座を持っており、土曜日でも手数料無料で即時振込が可能だ。

帰りの電車を待つ間に、駅のホームからネットバンキングでササッと振り込んだ。
不動産屋からもらった説明書によると、振込完了の画面のスクリーンショットを撮っておくとよいという。確定申告の際の証拠にするためだ。
今回の私の場合、売買益に関して特に税金は発生しないはずだ。が、念のため撮って自分にメールしておいた。
結果的にはこの行動は正解であった。意外かもしれない税の話は、別の記事で詳細に述べたい。

売買契約締結、その次は?

手付金500万円を手にしただけではあるが、契約を締結するという行為はすべて済んだ。

そのことを実感させられたのが、某不動産屋からDMが来なくなったこと。
これまで毎週のように「このような物件をお探しの方がいます」的なリストが来ていた。ところが、これがぱったり来なくなった。この不動産屋には「成約しました」と教えていないのに、ちゃんとチェックしているのね。

残金の受け取りは繊細な作業

次回の用事は残金の受け取りである。
受け取るだけなら振込でもよいのだが、私も買主も住宅ローンを組んでいるので面倒だ。

買主のローンを実行するには、銀行が不動産に第1位の抵当権を設定する(不動産を担保に入れる)必要がある。
しかし現状、第1位の抵当権は私に金を貸している銀行が設定しているので、これを剥がす必要がある。
そのためには、私が家を売った代金でローンを全額返済する必要がある。
私が家を売った代金を手にするためには、買主のローンが実行される必要がある。
買主のローンを実行するには(以下略)。

「三すくみ」みたいになっているのである。

これでは前に進まないので、買主のローンの実行→それを用いた不動産代金の支払い→私のローンの全額返済→登記簿の書き換えという順で手続きする。ただし、これら全工程を同日に行うという整理になっている。
つまり、買主のローンを担当する銀行が腹をくくって、抵当権設定の数時間前にローンを実行してくれることで、これら手続きが前へ進むわけだ。

以上のように、残金の受け取りは単に金銭の授受だけではなく、綱渡りのごとく繊細な手続きである。
そこで決済当日は、関係者が一堂に会した上で、「ズルや間違いをしない人」として司法書士が間に入り、手続きを主導することになっている。

「司法書士費用は当日、現金で」の意味

司法書士への依頼費用は現金で持ってくるように、と不動産屋に言われた。その真意は「その場でATMから引き出したり振り込んだりする時間がもったいないから」ということだそうである。
前述のとおり、これら一連の手続きは時間との戦いみたいなところがあって、当日、法務局が閉まるまでに登記簿の書き換えを行わないといけない。
したがって集合時間は平日の午前中でなければならないし、可能な限り、金銭の授受は速やかに行わねばならない。こういうわけだ。
今回、集合場所である銀行と法務局とは電車で30分弱の距離だが、法務局の場所を意識して集合場所を決めねばならないという隠れた制約もあるのだろう。

 

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