【主張】仲介手数料は高すぎないか

  • 仲介手数料は、上限が決められているだけで本来「定価」はない
  • 不動産屋にとって楽な案件でも、上限額を請求してくる場合がほとんど
  • 一部、この慣習を破った不動産屋もある

タイトルのとおりである。
仲介手数料は、高過ぎるのではないか?と、売却活動が終わった今、言わせてもらおう。

ただ、全面的に値下げせよとは言わない。
臨機応変に手数料を変える商慣行があってもよいのではないか、というのが私の主張である。

決まっているのは上限のみ

家を売り買いする際の仲介手数料は、宅地建物取引業法第46条と、それを受けた「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(令和元年 国土交通省告示第493号)」によって上限が定められており、売買価格が400万円以上の場合には、消費税を含め「売買価格×3.3%+66000円」となっている。

(報酬)
第四十六条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
(以下略)

これはあくまで上限であるから、これより高い手数料は認められない一方、安いぶんには問題ない。実際、私も手数料を半額にまけてもらった。

国交省としては「上限を決めることで悪質な業者への歯止めはかけた、その上で適正な手数料を決めるのは市場原理だから国は関与しない」という立場なのだろう。確かにそのとおりだ。

実態は「上限=定価」

しかし実態として、ほとんどの不動産屋が上限いっぱいの手数料をとっている
これより少しでも安い手数料にしようものなら、不動産屋は「定価から特別に割引しましたよ」といった顔をして恩を売ってくる。

いや違うんだよ。
本来は、契約ごとに不動産屋と客が交渉して手数料を決めるんだよ。

私の契約した不動産会社の場合、定型の「専任媒介契約書」を提示してきた。この契約書と、不動産会社の定めた「専任媒介契約約款」に基づいて契約を締結した。
その専任媒介契約約款によると、報酬は「国土交通省告示に定める限度額の範囲内で、甲乙協議の上、定めます」となっている。つまり、契約書の内容こそ画一的になっているものの、肝心の報酬(仲介手数料)に関しては「甲乙協議の上、定め」るのであって、契約上、定価はないのだ(少なくともこの不動産会社では)。消費者はまずこの点を押さえたい。

なぜ、売りも買いも均一料金なのか?

私が問題視しているのは、不動産会社がいつ何時でも、さぞ当たり前のように上限額をふっかけてくるという点である。

今回、私は不動産の売却に関して媒介の依頼をした。
これは素人にはなかなか大変な仕事だし、それなりに費用がかかることは理解する。具体的にはSUUMO等のサイト掲載に代表される広告料、内見依頼が入ったときに対応する人件費などである。上限額の50%という今回の手数料が適正だったかは測りかねるが、数十万円という金額にもある程度納得はしている。

一方、家を買う場合はどうか。これも場合によりけりなのだが、明らかに今回の私の案件より負担の少ない案件があると思う。
たとえば、客はSUUMOで物件を決め打ちして、掲載されていた不動産屋に電話。内見1回で即決して言い値で契約。不動産屋は両手取引で万々歳。こんな場合にも、売却依頼と同じ「物件価格の3.3%+66000円」を請求される。
これはさすがに、バランスがおかしくないか?

仕事量に応じた手数料にならないか

さて、家を売り買いする際には大体の場合に司法書士のお世話になる。
この司法書士報酬には特に規定がなさそうだ。しかし手続きに応じて大体の相場が決まっているようだ。言い値で依頼してもそんなにおかしなことにはならないと想像する。「いや高えな」と思ったこともあるが、よく見ると全額が報酬ではなかった。請求額に税金等の立て替え払いが含まれていたのだった。

仲介手数料も、こういう「仕事量に応じた相場」が出来上がればいいと思う。
たとえば、両手取引なのに買い手側の仲介手数料が満額、というのはどうかしている。単純に考えて、内見1回で売り手側、買い手側の用を同時に足せるのだから、その分の人件費は半額でよいはずだ。実際には「内見1回いくら」のような料金体系ではないので、そこまで明快にはできない。なので、たとえば両手の場合は仲介手数料を一律3割引にする。こうした商慣行はできないものだろうか。
こうなると、買い手側にも両手取引によるメリットが出てくる。「手数料を安くしたいから、A社の取扱い物件は、面倒でもA社に直接問い合わせよう」といったインセンティブが生まれるわけだ。これだと、消費者も不動産屋もお互いハッピーだと思うのだが。(両手取引がハッピーかどうかは別として……)

そういう不動産屋も、たまにある

蛇足だが、こうした私の主張に合う不動産屋も、あるにはある。
たとえば――といっても1軒しか知らないのだが、REDS(不動産流通システム)なる不動産業者がある。ここは、条件によって仲介手数料を「割引」すると謳っている。いや、だから何に対する割引だよ!上限額が定価じゃないんだよ!とツッコみたいところである。が、着眼点は私の主張に近いものがある。
ただし私は利用したことがないので、特にこの業者をお勧めはしない。だからリンクは張らない。何か、一般消費者の及び知らぬところにデメリットがあるかもしれない。あくまで自己判断で「いいな」と思ったら利用していただきたい。

 

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