【最速記録1.5時間】不動産一括査定の結果が続々到着。「査定額」「売出提案額」とは何だ?

清水の舞台から飛び降りる心持ちで、一括査定のボタンをポチった日のことは前の記事に書いた。

不動産業界にエサ撒き! 一括査定を依頼したら何が起こったか
別記事で紹介した「人手を介さない査定」の方法を知らなかった当時の私。売る気満々だったこともあり、不動産屋へ査定の依頼をすることにした。 今時、査定の依頼は簡単だ。いわゆる「一括査定サイト」というのがある。所有する不動産の情報を入力すると、数...

一括査定の申込から1時間半後、最初の机上査定の結果が送られてきた。早い!

はじめての査定書

その時はたまたま出先にいた。スマートフォンの小さい画面で、ドキドキしながら査定内容を見てみる。

――まあ、妥当だな。

査定金額は、約10年前に新築で購入した時の金額とほぼ同じ
売出提案額には約10%の幅があったものの、上限でも隣家の売り出し価格よりは安い。
「査定額」「売出提案額」等、用語については項を改めて説明する。

誰がやっても同じ査定額?

査定結果には根拠もちゃんとついている(宅建業法第34条の2で査定根拠を示すことが義務づけられている)。とはいえ、根拠を見ても新鮮な驚きはない。土地の価格は近隣の成約事例から類推。建物の価格は建坪と経年から機械的に算出しているだけだった。
その点では、どの不動産屋が査定しても結果は同じになりそうなものだ。

ただ、実際にはそうでもない。
まず、「どの成約事例を選定するか」によって、土地の想定価格が変わってくる。
次に、過去の成約事例と本物件を比較する際に、角地だと云々、整形地だと云々、駅まで遠くバス便だと云々……という価格補正が入る。数%であればこの段階で恣意的に動かすことが可能。
結果的に、営業担当者のさじ加減一つで数百万の差は出るなと感じた。

全社の査定書を見比べて分かったこと

その後、一両日中にほぼすべての会社が査定額を出してきた。

査定の方法はほぼ同じなのに、最終的な査定額には結構な差があった。
具体的に、一番安い会社と一番高い会社では2割近い差があった
2割といったら、たとえば4000万円と4800万円の差である。築10年と新築ぐらいの差がある。

これが中古車であれば、査定額の一番高い業者に売ればよい。しかし今回、不動産屋はあくまで売り主と買い主の仲介者である。査定額で売り出して、買ってくれる人が現れるという保証はどこにもない。

10社ほどある中で一番興味があったのは、隣家が売却を依頼している某社の査定だ。
見てみたところ、土地の査定価格が高い。そのため売出提案価格も高くなり、隣家の売り出し価格を超えていた。
なるほど、隣家の強気な価格設定は、やはりこの不動産屋の提案だったか。

ということで、隣家を担当している不動産屋がぶっちぎりで最高額だった――と書きたいところだが、実はそうでもなかった。
売出提案額でいえばこの某社が最高額ではあった。だが、それに準じた価格を提案してきたところが、あと2社あった。
査定額に至っては、この某社よりさらに高い額を出してきた会社があった。「じゃあ、その価格で買い取ってくださいよ」と言いたくなってしまう。

査定額と売出提案額の違い

10社ほどの不動産屋から査定書が届いたわけだが、そこには大体、「査定額」と「売出提案額」が記されていた。
素人には一見分かりにくい、この二つの違いについてまとめておく。

会社によって若干呼び方が違うのだが、「査定額」はその物件の適正価格と考えられる。つまり「平均的にはその価格で成約するでしょう」という価格である。

一方で「売出提案額」は、実際に売り出す際に不動産屋が推奨する価格である。

実際にこの「売出提案額」で売れることは多くない。買い主から価格交渉されて値下げする場合が大半だろうと思う。なので、売出提案額はそれを見越した額に設定する。
したがって通常は「査定額<売出提案額」となる

なお不動産屋によっては、査定資料に「査定額」を明示せず、「売出提案額」だけを記載していた。

売出提案額には販売戦略が反映される

査定額自体が不動産屋のさじ加減一つで結構変わることは先に述べた。

そして、査定額を踏まえた売出提案額となると、「どういう戦略で売るか」というところに選択肢が加わるので、会社によってさらに幅が出てくる。

具体的には、査定額にどの程度上乗せして売り出すか、というのが各社で結構違う。査定額の15%増しぐらいで売り出せという会社が2社あった。
たとえば査定額が4000万円なら4600万円で売り出せということだ。なかなか強気な設定である。

また、1つの不動産屋が3つの売出提案額を記載してくるという例も見かけた。3つの中からお客様がお選びくださいというわけだが、これはすなわち「3パターンの販売戦略を考えました」ということである。

では、売出価格を高くすればどうで、安くすればどうだというのか?
その点については、次の記事で詳しく考察する。

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