冬場の販売活動はガス代をケチるな!

買い主のローン審査を待っていた、とある日曜日。
コロナ禍の運動不足でイライラしがちな息子と二人、夜の散歩に出かけた。

特に行きたい場所もないというので、コンビニで買い食いした後、足は自然と「前の家」へ向いた。

中年の主張

何でも性別のせいにするなよと言われそうだが、男性は女性より過去にこだわりがちなのではないかと勝手に思っている。

私は男性であるが、そのせいなのか何なのか、過去に対してかなりの執着がある。
過ぎてしまった時間はもう遡れないが、モノなり風景なり、過去から現在へと継続してきた物理的存在はタイムトリップの代わりになり得る。独身時代にはよく一人旅をしたが、その目的の一つは「過去を探すこと」、すなわち「自分が過去に見たモノを探すこと」だった。
身の回りのモノをなかなか捨てられないという私の性分も、「これを捨ててしまったら、あとで過去を偲ぶ材料がなくなってしまう」という思いが大きな理由のように思われる。

――と大風呂敷を広げたが、ここまで書いて、「じゃあ女性はどうなんだ」という反論に答える材料がほとんどないことに気付いた。
強いて言えば、妻は何でもすぐ捨てるということぐらいで、論拠としてはひどく貧弱だ。

まあいいか、勝手な思い込みだから。

旧居で点滅するのはイルミネーションではなく……

無駄話が長くなったが、私は過去を見たくなったので、息子を連れて売り出し中の旧居へ歩いていったわけだ。

暗闇に佇む我が家は、特段変わったところもなく、住宅地の静けさに溶け込んでいた。

 

と、感傷に浸っていたのもつかの間。
点検のために敷地内へ入り、普段あまり行かない家の裏手へ回り込むと、床暖房専用の給湯器が赤ランプを点滅させていた。

とっさに一旦電源プラグを抜き、再度差し込むと、点滅は止んだ。

そそくさと帰宅し、給湯器の取扱説明書を開いてみる。
ランプの点滅は何らかの故障を示すらしいが、筆頭に挙がっていたのが「点火不良」であった。

パラパラと説明書をめくると「凍結防止」の項が出てきた。
寒い日は自動的に点火して配管内を温めるので、冬季は電源プラグを抜かず、また元栓も開けておくように、とのことであった。

うーむ。まずい。
火災防止ならびに基本料金節約のため、12月上旬にガスの契約を打ち切ってあったのだ。
ガスの場合、契約を打ち切ると、その日にガス会社の人が来て元栓を閉めていく。

一方、電気は今も契約を継続している。

寒い日に、給湯器が凍結防止を行おうとしたが、ガスが来ていないので点火できず、点火不良のアラームを発した――と考えれば、ランプ点滅の理由は説明がつく。
しかし同時に、「点火できなかったため、配管の凍結が発生」という可能性も浮上してきた。

ガス床暖房は、ガスで温められた「液体」が床下の配管の中を巡ることで部屋を暖める。
この「液体」は単なる水のこともあるし、不凍液のこともあるようだ。我が家がどちらだったのか、そんな基本的なことも分かっていないのだが、不凍液であれば文字どおり凍らないから配管凍結の心配はない。一方、単なる水であれば凍結の可能性がある。

給湯器は無事か?

あわてて、風呂や台所で使っている給湯器の説明書も見てみた。
こちらは、電源さえ確保されていれば、ガスを使わない手段(内部の水を循環するのか?)で凍結を防止するという仕様のようで、ガスの元栓を開けておけという記載はなかった。

凍結防止のために給湯器が自動で「何か」をやっていることは知っていた。
居住中、特に冷える夜には、給湯器リモコンの「雪の結晶マーク」が点灯し、何やら水の流れる音がしていたものだ。
また、「楽天でんき」のウェブページでは、日単位あるいは時間単位の電気使用量を見ることができるのだが、冬の深夜から朝にかけて、寒い日ほど電気の使用量が多くなっていることが分かった。初めて見たときには「空き家なのになぜ、夜中に使用量が増えた?」と不審に思ったのだが、これはガス給湯器の凍結防止動作によるものだと思う。

ただ、この凍結防止動作にガスが必要かどうか、ということまでは気にしていなかった。

冬場に家を売る人へのアドバイス

幸い、凍結による故障はなかったようなのだが、後に続く読者の皆様に、本件をふまえたアドバイスをしたい。

設備点検の終了後、物件を引き渡すまで、水道(お湯)は金輪際使わない!という自信があるのであれば、寒くなる前に水抜きを行うのがよい
水を抜けば凍結する心配もないからだ。

ただ、水抜きには手間がかかる。
寒冷地では日常的に行う作業であり、慣れれば大した手間ではないのだろうが、私は結局、10年以上住んでいたのに一度も水抜きをしたことがないので、やや億劫である。

また、内見に来た人が万一お湯を出してしまったら、水抜きをやり直す必要があるかもしれない。
勝手にお湯を出す客がいるとは思えないが、間違いが起こらないとも限らない。

そこで、私のように「過去に水抜きをしたことがなく、凍結も経験していない」という人は、まず給湯器の説明書をよく読もう。
そして「凍結防止のためにガスが必要」という給湯器であれば、ケチらずにガスの契約を継続するのがよいと思う。

 

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