【自宅売却時のプチ節約】登記簿の住所を自分で変更しておこう

家を売るからには、自分の土地・家屋の登記簿謄本(登記情報)を一度は眺めたことがあると思う。

では、その登記簿謄本で、自分の住所はどこになっているだろうか?
「現住所と一致している」という方は、意外と少ないのではないだろうか。

登記簿上の現住所について、引っ越すたびに変更する義務はないのだが(後述)、家を売る場合、事前に自分で変更しておくと1万円ぐらい浮くかもしれない、という話を今から書く。
私はこれで失敗したので、後に続く人はぜひ参考にしてもらいたい。

最初に:住所変更が義務化されます

実は、この問題には法的にメスが入れられる。令和8年(2026年)4月までに、「登記されている住所が変更になった場合に、住所変更の登記申請が義務化される」とのことである。

以下の内容は、義務化以降にも役に立つのでそのまま残しておく。

ただ、義務化後は以下に述べる手続きのハードルが大幅に下がる可能性があると思っている。
何せ、今後は「転居の際に登記簿の変更を行う」ということが義務化される。すなわち、引っ越しの際に行う住所変更手続きの一つとして「登記簿の書き換え」がリストアップされるのである。申請件数は大幅に増えるだろうし、大半の人が「そのたびに司法書士に頼むのはバカらしい」と考えるだろう。
このことから、自分で登記申請を行いたいというニーズが急増すると予想される。すると、それを後押しする情報提供や環境整備も急速に進むのではないか。

以下の内容は「まだハードルが高かったころ」の情報だが、義務化以降は拍子抜けするほど簡単になっているかもしれない。その場合、この記事はあまり意味を持たなくなるのだが、それはそれで正常な進化だからいいことにしよう。

登記簿の住所が現状と合っていない?

前置きが長くなったが、ここからが本題。
家を所有している大多数の人は、登記簿上の住所と実際の住所が不一致である。これが本記事のメインテーマである。

なぜ、不一致になるのか

あなたが家を購入するとしよう。
家の代金を売り主に支払う時点では、通常、あなたはその新しい家に住んでいない。
当たり前である。まだ買っていないのだから。

一方、「家を買った」という登記情報は、家の代金を全額支払い、所有権が移転した時点で記録される。

したがって、登記情報に記録されるあなたの住所は、通常「新しい家の住所」ではなく、「新しい家に引っ越す前の住所」ということになる。

そして通常、新居に移ったからといって、この登記情報をわざわざ変更することはなかった(これまでは)。
変更しなくても、その不動産を持ち続けている限りは、特に困ることがないからだ。

一致していなくて困るのはどういうとき?

しかし、不動産を売ったり、住宅ローンを借り換えたりする場合には、登記情報上の現住所を実際の現住所に一致させる必要がある。
法務局で本人確認ができないからだ。

通常、司法書士に「不動産の売却」「抵当権の設定」など登記簿関係の手続きを依頼すると、本人は法務局へ行かなくてよい。
この場合、法務局としては、「不動産の所有者が今回の手続きに同意しています」ということを、「委任状に捺されている印鑑」と「役所が発行した印鑑証明」で確認すると思う。
ここで「役所が発行した印鑑証明」の住所と登記情報上の住所が異なっているのでは、「本当にこの印鑑が不動産の持ち主のものなのか」ということを確認できない。

司法書士に頼めば手続きはやってもらえるが……

――ということに先に気付けばよいのだが、おそらく大部分の人は、買い手がつき、具体的な契約手続きが始まったあたりで不動産屋に「登記簿の住所が現住所と違いますね」と指摘される(と思う)。今回の私はそうだった。

そうすると、流れとして「所有権移転登記を司法書士へ依頼するので、それと同時に住所変更もやってもらいますね」ということになる。
これだと、確かに手間はかからないのだが、住所変更ぶんの司法書士報酬が別途発生する。
報酬は司法書士が自由に決められるが、どうも1~2万円が相場のようである。
時間がなかったこともあり、私は言われるがままに司法書士へ依頼してしまったが、あとで事の詳細に気付いて「クソー」と思っているところである。

住所変更ぐらい自分でできないか?

所有権移転登記について、司法書士へ依頼することはやむを得ないと思う。
所有権移転登記は売り主と買い主との共同申請となる。さらに住宅ローンを組んでいれば、抵当権の設定・解除で銀行も絡んでくる。
「報酬がもったいないから自分でやるわ」と言ったところで、買い主や銀行が同意しなければそれは叶わない。資格を持たない怪しい一個人へ、大事な手続きを委任する銀行は少ないだろう。

しかし住所変更は、不動産の持ち主が単独で行う申請であり、書類にしても申請書と住民票の写しぐらいで済んでしまう簡単なものだ。
これに対して司法書士報酬を支払うのか?

確かに、法務局へ出かけて平日が半日つぶれると思えば、報酬の方が安いと感じる人もいるだろう。
しかし今時、うまくいけばオンラインでも手続きは可能である。これで1~2万円が浮くとなったら頑張ろうか、という人もいるのではないか。

ということで、「登記簿の住所変更は自分で済ませておこう」というのが本ページの趣旨である。

いつ住所変更すればよいか?

家の売却の場合、住所変更のタイミングには気を付けたい。
なぜなら、「家を売る時点(=代金を受領する時点)での現住所」を登記情報に登録しておく必要があるからだ。

一般的に、持ち家を売る(残代金を決済する)前には転居が発生する。登記情報に登録しておくべきは転居先の住所であるから、「転居から売却まで」の間に登記情報を変更すればよいことになる。

今回の私の場合、先に賃貸へ転出し、それから持ち家を売却したので、家を売る時点での現住所は転居先の賃貸住宅となる。転出から売却までは約半年あったので、かりに自分で手続きをする場合、手続きを急ぐ必要はなかった。

一方、売却ギリギリまで持ち家に住んでいるという人はタイミングが難しいかもしれない。
残代金を決済し、所有権移転登記を行う段階では「今回売る家」には住んでいないわけで、いずれ登記情報上の住所は転居先となる。そこは私の場合と変わらない。
しかし「転居から売却まで」がたとえば2週間しかなかったらどうか。転居で忙しい中、さらに余計な仕事をこなす必要が生じてくる。1、2万を支払っても他人に依頼したい、という気持ちになりそうだ。

オンライン手続きの長い道のり(2024年現在)

このご時世、登記もオンラインで申請することが可能なので、その流れを簡単に載せておく。ただし、私自身はやったことがないので、あくまで法務局の受け売りである。
また、結論からいうと、慣れない人は法務局へ行った方が、結局は面倒が少ないかもしれない。手続き方法がe-Taxほどこなれていないのである。

簡単そうに見えるが、なかなかハードルが高い。

住民票コードって? マイナンバーですか?

まず、のっけから「えっ」と思わされるのが「住民票コード」である。
「住民票コードがあれば住民票は不要です」とあるのだが、マイナンバーではない。住民票コードだ。「○○市は参加しません!」などと揉めた住基ネットで使用するアレだ(と言っても若い人には通じないかも)。

今時、住民票コードに触れる機会はほとんどない。役所に出向き、特にお願いして、住民票コードを教えてもらうことになる。
自治体によっては無料の「住民票コード通知票」を発行してくれるが、そうでない場合には「住民票コード入りの住民票の写し」を有料で取得するしか手がない。
「住民票コードの記載があれば住民票は不要」と言っているのだから、住民票コードを知るために住民票の写しを取るのは本末転倒ではないか?(後述)

旧住所から新住所までを途切れなく証明する資料が必要

住民票コードが判明しない場合には住民票の写しを添付する必要があるが、登記簿に記載の住所から現在までに転居を2回以上していると、住民票だけでは用が足りない

住民票の写しを添付する主な目的は「登記簿の住所と今の住所の関連付け」だ。すなわち「登記簿の住所に住んでいた人が、今はここに住んでいます」ということを証明するために住民票を提出する。
しかし住民票の写しには「現在の住所」と「一つ前の住所」しか記載されていないので、2回以上転居していると「登記簿の住所」と「現在の住所」の紐付けができない。
このような場合には、戸籍の附票など、別の公的書類を提出して紐付けする必要がある。

住民票コードが判明していれば、2つ以上前の住所も取得できる場合があるようだ。
なので、住民票コードを知るために「住民票コード入りの住民票の写し」を有料で取得することにも、時には意味があるといえる。

マイナンバーカードをPCで扱えますか?

さらに、マイナンバーカードの電子証明書が必要となる。カードを持っているだけではダメで、カード申請時などに「署名用電子証明書」を申し込む必要がある
私は確定申告をe-Taxでやっているので当然のように持っているが、そういう使い道のない人は、署名用電子証明書を持っていない可能性がある。また、設定しただけで使っていない人はパスワードを忘れているかもしれない。

さらにさらに、マイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダライタも必要となる。
最近だと、e-TaxやマイナポータルはスマートフォンのNFC機能で利用できるが、法務局の場合はパソコンの利用が前提のため、リーダライタを用意しなければならない。
数千円で買えるものではあるが、このあたりで挫折者が増えそうだ。

署名付きPDFで提出してようやく終了。差額1万円の価値はある?

そして専用ソフトをインストールした後、申請書を「署名付きPDF」で提出せよ、となっている。マニュアルは整備されているが、私は何度か間違える自信がある。

これらのハードルを見事にクリアすると、自宅にいながら自分で登記情報を変更することができる。
費用としては、土地と建物、双方の登記を変更するとして登録免許税が1000円×2=2000円。さらに新しくなった登記情報を書面で入手するのに500円(郵送の場合)。計2500円かかる。

一方、これらを司法書士に依頼すると大体1万円以上かかる。差額は1万円程度だが、これを安いとみるか、高いとみるか。

 

以上、登記情報の住所変更について「自分でやろう」という問題提起をしてきた。
現状では、オンラインでの手続きにはそれなりのITスキルが必要という印象で、法務局へ行っていちいち教えてもらいながら手続きするのが確実なように思う。義務化以降、この手続きが大幅に洗練されることを期待したい。

 

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