8月のお盆前に、不動産各社へ一括査定をお願いした。
その際には「部屋が汚いので、とりあえず簡易査定で」という条件をつけていた。
外からしか見られないのに、わざわざ家へ来る不動産屋もいくつかあった。
査定書が出揃うと、当然、不動産屋からは「早く中を見せてください」と催促が来る。
そのたびに「部屋が片付いたら呼びます」と言い続けてきた。
しかし、9月に入ってもいっこうに部屋は片付かない。
一方、11月初旬に転居することは早々と決まった。ということは、遅くとも11月初旬には家の中はきれいになる。
そこでふと思った。
不動産屋を家の中に招き入れるのも、転居後でいいのではないか?
「住んだまま売る」ことのメリット、デメリット
中古の住宅を「売り主が居住している状態」で売り出すか、「売り主が転居後、空き家の状態」で売り出すか。一般的にはどちらも一長一短あるようだ。
素人の自分は、当初「転居後の方が部屋が広く見えるし、状態も確認しやすいからベター」だと思っていた。
先住者のいる部屋を見るのでは、どうしても遠慮が入ってしまう。
しかし調べてみると、「先住者の入居中に見てもらった方が、買い主が転居後の生活をイメージしやすいのでよい」という視点もあるという。
最近では、居住しながら家を売り出す人を対象にしたサービスが流行っている。今使っている家具を存置しつつ、不要な生活感を生む小物を隠して「映える」写真を撮る。こうした「ホームステージング」というサービスが花盛りだ。これはまさに、「転居後の(現実よりちょっと素敵な)生活をイメージしやすくする」ことにより、買い手の興味を惹くことが目的である。転居後に同じことをやろうとすると大変だ。撮影用に大物の家具をまるまる据え付けないといけなくなる。
私生活を覗き見られる「内見」に堪えられるか?
それは分かった。
しかし現実問題として、入居状態で中を見せるのは、正直言って面倒だ。
不動産屋に日常は見られたくない
まず、相手が買い主候補ではなく不動産屋であったとしても、あまりに散らかっている家には入れたくない。
当時の我が家は、子供部屋が文字どおり「足の踏み場もない」状態。とても他人を呼べる状況ではなかった。
そして我が家の場合、妻が基本的に寝たきり、かつ他人と話したくない状態である。
しかし内見となれば、寝室にも他人が入ってくるわけで、寝たままというわけにはいかない。
見に来る不動産屋が1社だけなら、その間、妻子が近くの喫茶店等に避難するという手もある。
しかし、実際には複数社と一般媒介契約を結ぶ予定だから、3~4社は入ってくるだろうと想像される。普段寝たきりの人がそのたびに外へ避難するのは辛い。
お客を迎えるなんて、もっとできない
さらに話が進んで、入居中に買い主候補が部屋の中に入ってくるとしたらどうか?
実際、そういう物件は結構あると思う。SUUMOに載っている写真が「家具付き」で、ステータスを見たら「居住中」。こんな物件は特に珍しくない。
が、考えてみると、客を迎える売り主側の負担は相当なものである。
客は内見によって「買う・買わない」を決めるのだ。だから、掃除や片付けのレベルも、不動産屋を迎え入れる際とは違ってくるだろう。しかも全ての部屋を見て回る。だから急な来客の時のように「とりあえず1階だけ綺麗にしよう」では済まない。
不動産屋によっては、このような場合に対応した「お片付けサービス」を用意しているところもある。が、客が来るたびに毎回頼むと費用もバカにならない。それに「他人が入ってくるのが嫌」という私たちからすると、「お片付け」のために余計に他人が家へ入ってくるのは本末転倒である。
査定を依頼した当初はここまで考えが及ばなかった。が、今思えば、我が家で「入居したまま内見してもらう」というのは無謀な計画だった。
販売開始がズルズル遅くなっていく。それは気がかりだった。しかし背に腹はかえられない。
転居後すぐにハウスクリーニングを実施し、それから不動産屋を呼ぶ方針に切り替えた。
「内見不可」で売り出すという選択肢は?
当初はここで話が終わっていた。
しかし、売却活動がすっかり終わった今、あらためて考えてみた。
販売開始は後らせたくない。しかし居住中に他人が入ってくるのは嫌。
この2条件を満たしたいのなら、「内見は、現オーナーの転居後にしかできない」という条件付きで売り出すという方法もあるのでは?と思った。
内見してもしなくても、売出価格は変わらない
別記事にも書いたが、売却活動をしていて思ったのは、「内見の結果で査定額が大きく変わることはない」ということ。不動産屋が家の中に入ってじろじろ眺めても、査定額への影響はほとんどないと感じた。
ならば、不動産屋に対し「家の中は見せられないが、とにかく売り出してくれ」という依頼をすることは可能ではないか。
実際、私たちが家を売った後、引越先のマンションでそのような物件を見かけた。
SUUMOを見ると、部屋を売り出してはいる。しかしその部屋はリフォームの真っ最中。SUUMOに室内の写真はなく、載っているのはベランダからの風景のみだった。
つまり不動産屋ですら部屋の完成形を見ていないわけだ。裏を返せば、「当面は内見不可」でも売り出すことは可能ということだ。
内見不可能な物件を買う人がいるか?
しかし、かりにこの状況で「買いたい」という人が現れても、すぐに内見はできない。リフォームが終わるまで待つか、完成予想図を信じて買うかの二択になる。
賃貸ならともかく、中古住宅を買うのに現物を見ないというのは不安が残る。じゃあリフォームが終わるまで待てるか?というと、待っている間に別の物件を見て、そちらに決めてしまう可能性が高そうだ。
結論として、内見できない状況で売り出すというのはあまり得策ではない。もし居住中の内見を拒みたいなら、転居して内見可能な状況になってから売り出せばよい。以上が私たちの見解だ。
ここからしばらく、賃貸住宅への転居にまつわる話題が続く。
家を買う話だけ読みたい方は、以下の記事までスキップしていただきたい。
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