- 家を売る前のハウスクリーニングは、掃除専門の業者ではなく、リフォーム会社に頼むのがオススメ!
- その理由は、ちょっとした不具合の修繕もついでにやってもらえるから
時系列で読んでいる方にとっては、ここで久々に「家を売る」という本論に戻る。
持ち家から賃貸への転居が終わり、いよいよ持ち家の売却をスタートできることになった。
そこで手始めに、ハウスクリーニングを頼むことにした。
売却の媒介を依頼する不動産屋によっては、ハウスクリーニングを無料でやってくれるところもあるかもしれない。
しかしおそらく、その場合には「専任媒介契約」を求められると思う。(媒介契約の形態については以下の記事を参照。)
私は今回「一般媒介契約」を念頭においていた。なので、クリーニング代を不動産屋に出してもらうつもりは最初からなかった。
【いきなり結論】売り物件のハウスクリーニングはリフォーム会社に依頼すべし
ハウスクリーニングを依頼するのは初めてだったのだが、どういう会社に依頼するのがいいか?
普通なら、ダスキン、おそうじ本舗等の「清掃業者」をまず考えるのではないかと思う。
しかし結論からいえば、家を売るためのハウスクリーニングは、リフォーム会社に依頼するのがおすすめだ。
お掃除「だけじゃない」リフォーム会社のハウスクリーニング
別に、ダスキンの仕事ぶりが悪いと言っているのではない。
自分が住む家の掃除なら、ダスキンでいいのだ。
今回の掃除の目的は「家を売る際に、物件をなるべく良く見せること」である。
この目的に対してはリフォーム会社が良い、という話だ。
では、リフォーム会社の何が良いか?
一言でいえば、掃除以外のこと、具体的にはちょっとした設備の不具合にも対応できる可能性がある、という点だ。
これが、清掃業者にはない特長なのである。
不動産屋に紹介されたリフォーム会社が大正解!
これまでの記事で述べてきたとおり、今回は一般媒介契約を念頭においている。一般媒介契約の客にハウスクリーニングを無料でサービスしてくれる不動産屋はなさそうだ。
そのため、不動産屋が内見に来る前に、自腹でハウスクリーニングを施工しようと考えた。
といっても、どこに依頼するか全く「あて」がなかった。そこで、契約先として有力だと思っていたS社の営業担当に聞いてみた。
「自腹でハウスクリーニングするから、業者を紹介してくれませんか?」
その結果、紹介されたのが地場のリフォーム会社だった。
見積をもらったところ、延床面積100平米弱に対して約11万円という価格だった。「リフォーム会社に清掃を頼んで大丈夫なのか?」という一抹の不安はありながらも、正式に依頼することにした。
ちなみに、アート引越センターの営業担当にも引越の際に軽く相場を聞いてあった。料金は単純に延床面積で決まり、大体15万程度という話だったと思う。
積極的な宣伝はしていない?
さて、今あらためて、ハウスクリーニングを依頼したリフォーム会社のホームページを見てみた。何と、「ハウスクリーニングやってます」とはどこにも書いていなかった。
ただ、「工事を行った箇所以外でも相談をお受けしております」という記載はある。また排水管、換気扇など住宅設備の不具合に対し「ホームドクター」的な対応をしている、といったことは書いてある。
私は実際に依頼したから、これを読んで「なるほど、ハウスクリーニングに通じるものがあるな」と思う。が、未経験者はこれを読んで「ハウスクリーニングを頼める」とは思わないだろう。もったいない話だ。
掃除のついでに修繕も頼めた!
ともかく、上記のリフォーム会社に連絡し、あらためて見積をもらうことにした。
なかなかやる気のある社長がメールで返信してくれた。そこで、こちらも調子に乗っていろいろ質問した。「これは直せませんか?」「これを直したらいくらぐらいになりますか?」など。
その結果、懸案だったクローゼットの扉の修繕について、解決のめどが立った。
壊れたクローゼットをどう直すか?
我が家にはクローゼットがいくつかある。新築後数年で、そのうちの1つの扉が外れてしまっていた。
当該のクローゼットは折り戸になっている。その扉が上部レールから外れないようにするための部品(正確には「ピボット」)がとれてしまった。
見ると、木製の扉の上端面に穴を開けて樹脂製の「ピボット受け」を打ち込み(写真でいうと白い部品)、そこに金属製の「ピボット」を差し込んであった。今回「ピボット受け」が欠けた上、扉に開けた穴が崩壊してガバガバになっていた。
木工用ボンドで穴を埋めるなど多少の処置はした。が、すぐに外れてきてしまうので、もう諦めていた。
自分で使う分には我慢できるが、このまま売りに出したのでは印象が悪い。
リフォーム会社、さすがの対応力
そこで件のリフォーム会社に相談したところ、二つ返事で検討を引き受けてくれた。
まず、正攻法で扉全体を取り替える方法が考えられる。しかし現行製品には同じ柄の扉がないそうだ。つまり、ここだけ違う柄の扉になってしまう。もちろん材料費もそれなりにかかる。
一方、今回の故障箇所は扉上部のごく一部分である。ちょっとした木工作業を施せば、現在の扉を活かして修理することができそうだという。
もちろんタダではなく、部品代や工賃はかかる。しかし清掃の合間に施工するから、単独で依頼するよりずいぶん安上がりにはなるはずだ。
何より、本来であれば扉全体を取り替えるしかないところ、現物を見て「当面もちそうな、リーズナブルな修繕方法」を提案してくれるところが素晴らしい。これは清掃業者には望むべくもない。
メーカーに頼んでも解決にならなかった
なお、この件については当初、メーカーである大建工業に相談した。すると「部品交換だけでは直りません。ついてはグループ会社のダイケンホーム&サービスへご相談を」という返答であった。
そこでダイケンホーム&サービスへ改めて相談した。が、問い合わせフォームから送ったメールには、結局何の返答もなかった。
別に悪気はないのだろうし、本当に返答が必要なら電話で催促すればよかった。にしても、いい気はしない。こんな細かな修理案件には興味がないんでしょう、と勝手に思っている。
2日かけて一棟丸ごとクリーニング、その出来映えは?
能書きが長くなったが、依頼先が決まったので、実際にハウスクリーニングをお願いした。
元々「自分たちが住んでいる状態で売り出し」という計画だった。それが、色々考えた末に「自分たちが退居してから売り出し」と方針が変更になった。つまり計画がすでに遅れているわけだ。だから引越が終わったら、一刻も早く不動産屋を家に呼びたい。
そこで、ハウスクリーニングの日程は転居の2日後と決めた。
当日の朝、鍵を開けるために旧居へ向かった。社長以下数名がすでに待機していた。
2日間かかるというので鍵は預け、簡単に説明をして帰宅した。
2日目の夕方、履行確認のために再び旧居を訪れた。
それは見事な仕上がりであった。
何ということでしょう!
まず、目に見えて分かる違いがフローリング。
10年間の居住中、自分でワックスをかけたことがない。したがって今回はワックスがけの依頼をしていなかった。
しかし、当日に現地を見た社長が一言。
「床に細かい傷が目立ちますが、ワックスがけすれば相当綺麗に見えそうです。やっときます。」
この一言であっさりと施工された。
別に私から頼んだわけではないので、これによる増額はない。しかるにワックスがけの効果は絶大であり、正直、新築時より見栄えがする状態になった。
その他、掃除自体も期待以上の仕上がりだった。
たとえば窓ガラス。恥ずかしながら、大半の窓は10年間一度も拭いたことがない。新築時、ガラスを運搬した際についた吸盤の跡らしきものが残っているという有様だった。しかし今、それは文字どおり跡形もない。
雨戸については、裏側まで拭き上げてくれていた。
10年間、そんなところには全く気が回らなかった。
ウォシュレットについては、見積の段階で少々揉めた。「壊すといけないので分解清掃はやりません」と言われていたのだ。なので、息子がさんざん小便をひっかけた1階のウォシュレット(内部まで染み込んでいる)は、別途自分が歯ブラシで掃除するしかないと諦めていた。
しかし実際には、分解こそしていないのだろうが、見える範囲はすっかり綺麗になった。これ以上手を加える必要はないと思った。
「見た目」だけが問題だ!
そう、この「見える範囲は」というのがポイントである。
やや意地悪な言い方をすれば、今回のハウスクリーニングの目的は「一見して綺麗だなと思わせること」であり、「見える範囲」だけを綺麗にすればいいわけだ。
実際に住んでいる場合は、見えない部分の清掃が有り難く感じられる場面もあるだろう。排水管の中を清掃して水の流れをよくする。あるいは浴槽のエプロンを外して清掃する等。しかし今、それは必要ないのである。
「プチ故障」は言わなくても直してくれる
さらに感心したのが洗面所の水栓だ。
シャワーつきの水栓は、根元のところのシーリングが剥がれていた。その結果、本来固定されている部分が外れてグルグル回る状態だった。
このことについて、私は一言も言わなかったし、作業後にも何ら言われなかった。しかし清掃後に確認したところ、水栓の根元は新品同様に固定されていた。
その他、ドアの立て付けも調整されており、どのドアも気持ちよく開閉できるようになった。
こういう「プチ故障」に気付いて即応してくれるというのは、清掃業者では無理だろう。
想像だが、今回来てくれた職人さんは、そもそも「清掃のプロ」ではなく「内装工事のプロ」なのではないか。内装工事においても、引き渡し時にある程度は綺麗にしないと文句を言われる。だから清掃のノウハウも持っている。そういうことではないだろうか。
目的を理解している会社に頼むべし
家の売買とリフォームは密接に関わっている。「家を売る前にリフォーム」という人も結構いるのだろう。
だからおそらく、リフォーム会社は私の意図を理解して、必要十分な施工をしてくれた。
私が「ハウスクリーニングはリフォーム会社にお願いすべし」という理由がお分かりいただけたと思う。
大手リフォーム会社は危険?
といっても、リフォーム会社にもいろいろあると思う。
そもそもハウスクリーニングをやっていない会社もあるだろう。また、実際は下請けに丸投げするだけの会社もありそうだ。
今回の私のように、不動産屋に「ハウスクリーニングをお願いできるところはありますか?」と聞いてみて、候補に中小のリフォーム会社が挙がってくれば、そこは有力な候補である。中小であれば下請けに丸投げということは考えにくい。これすなわち、元請けにマージンを抜かれる可能性が低いということだ。
目的を共有できると仕上がりが違う
今回、さすがにフローリングや壁の傷は直らなかった。壁紙の汚れもちょいちょい残ってはいた。正直、細部まで見ると「清掃としてはあと一歩」というところはあった。
が、家に入った時の第一印象として、何よりフローリングのワックスがけが効いている。そして設備の小さな不具合がいくつか解消された。
全体としては、小学校の遠足よろしく「来た時(新築時)よりも美しく」といった印象になった。
今回、引っ越して家を売るという過程でいろいろな会社にいろいろなことをお願いした。その中で「期待を上回った」というものを挙げるならば、このハウスクリーニングが一番だ。
ただ、どうでもいい副作用として、旧居のクリーニングが期待以上であったために、新居のクリーニングのいい加減さに余計うんざりする結果となった。