時は流れて、引越数日前。
――はい、引越をナメてました。
衣装ケース派は「引越勝ち組」
これまでは、仕事の合間に本棚のものを出して1箱ぶん詰めるといった、大層ゆるやかなペースで箱詰めをしていた。
生活に必要なものは直前まで箱詰めできない、だから今日はやらない。そんな言い訳めいたことを考えて後回しにしていたら、進捗率2割程度で数日前になってしまった。
ただ、救われたこともある。引越屋に電話したところ、衣装ケースは、中身を出さずにそのまま運んでもらえると確認できたのだ。
我が家の衣装ケースは無印良品のポリプロピレン製のものだが、もちろん他社製でも同じだろう。
洋服ダンスを買おうという気が起きず、何となく衣装ケースだけで過ごしてきたが、引越時には俄然有利だと気付いた。
エアコンは事前取り外し
今回、エアコン2台を移転することになったのだが、その取り外し作業が引越数日前にあった。
転居当日に取り外すのは慌ただしいので、事前に外しておくとのこと。おそらく、ほとんどの引越で同じことを言われると思う。
転居の数日前にエアコン工事の専門業者が来て、室内機と室外機を結ぶ配管を切り離していった。室外機は外に置きっ放しだが、室内機は壁から取り外され、床に仮置き。あとは引越当日、一般の荷物と同様に新居へ運ぶだけという状態だ。
このような手順なので、あらかじめ室内機の置き場を確保しておく必要がある。また夏場や冬場は、この作業後にエアコンが使えなくなる。できるだけ不便な時間が短くなるよう、日程調整が必要となる。
引越2日前の夜になって、さすがにまずかろうという話になり、私と妻はほぼ徹夜で箱詰めをやった。いよいよ祭りが始まった。
引越前日は「通販受取デー」
ほぼ徹夜で迎えた引越前日。この日は、前々から計画していたとおり「通販受取デー」。新居に出向いて家具や家電の搬入を待つことになる。
新居では特にやることもない。空き時間に仮眠しようと、子供の遊び場で使っていたIKEAの折りたたみ式マットレスを持っていった。しかし実際には一眠りする暇もなかった。
ベッド2台、ベッドパッド、寝具小物、冷蔵庫、ガス開栓と、次々に人がやってくる。
ベッドは組み立て作業までやってくれたが、家財の搬入前なので作業場所には困らない。事前の搬入が断然効率的だ。冷蔵庫はドアの大きさとの兼ね合いで入れるのに苦労していたが、それでも余計な家具がないから通常の搬入よりはやりやすかったのではないかと思う。
合間に写真撮影も
待ち時間に部屋の写真を撮りまくった。退居時に「この傷は入居時からあった」と主張するための証拠作りである。
入居後1週間ぐらいの間に、不具合の申告用紙を提出せよと言われていた。これに添付する証拠写真が必要だ。荷物の搬入が始まってからでは遅い。
築5年程度だが、床の傷や壁の汚れなど、探せば結構見つかる。手当たり次第に撮りまくった。
実はこの日から約2年半後、次の部屋へ引っ越す際に、新居担当の不動産屋から「大家さんも最近はビデオで記録してますので、フローリングの傷なんかは逐一報告しなくても大丈夫ですよ」と言われた。そ、そうなのか!あの大量の写真は無駄だったのか!――とその時は思ったが、実際には退居する際に写真が役立った。なので、私は「サボらずに撮りまくる」ことをお勧めしたい。
夕方になって、アート引越センターのインテリア部からオーダーカーテンが届いた。これがないと新居で暮らせない。作業代を支払っているので、ありがたく取り付けをお願いする。
ところが、ここで思いもかけないトラブルが発生する。トラブルの内容は別記事に譲るが、オーダーカーテンも油断は禁物である、というエピソードとして教訓にしていただけばと思う。
「冷蔵庫2台持ち」はボーナスステージ
暗くなったころにようやく搬入作業が全て終わり、自宅に戻る。
新居の冷蔵庫がすでに稼働しているので、夕食後に何往復かして、冷蔵庫の中身を移し替えた。転居先が近く、かつ冷蔵庫を買い換えるからこそできることだ。
もしこの方法が使えないとなると、要冷蔵、要冷凍の食品を全部整理しなければならない。これが地味に大変だ。数日前から計画的に消費していかないといけない。
さらに、使いかけの調味料の処遇に困る。面倒なので思い切って捨てようと思っても、液体であれば紙に吸わせて燃えるゴミ、ビンは洗って資源へ――と手間がかかる。実はこの2年半後にもう一度転居するのだが、その際に嫌というほど苦労した。
もし転居先が近隣であって、冷蔵庫がそこそこ年代物であれば、転居に合わせて冷蔵庫を買い換え、冷たいまま内容物を移し替える「2台持ち」を強くお勧めしたい。
冷蔵庫のコンセントは転居前日の夜に抜いておけと言われる。が、今回、冷蔵庫は移動せず捨てるだけなので、無視して朝まで電源を入れていた。冷たいものでも飲まないとやっていられない。
そして2日連続のオールナイトに突入する。といっても眠気に堪えかね、1時間弱の仮眠はとったのだったか。
今晩は息子も起きていて、頼むとダンボールを組み立てるぐらいはやってくれる。お祭り騒ぎが楽しいのか、息子は全く眠ることなく朝を迎えた。