嘘か本当か? 売り出し開始当日、隣家が高値で成約

  • 先に売り出していた隣家が高値で成約したとの情報を他の不動産屋から入手
  • 自分の家の売出価格は変えないが、価格交渉には強気で対応することに
  • 明らかに相場より高い成約は両手取引の弊害か?

別記事に書いたとおり、私は某社と専任媒介契約を結ぶことになった。
そこで、査定を依頼したその他の不動産屋に順次、お断りの連絡をしていった。

売り出し当日にビッグニュース! いやフェイクニュース?

そんな中、事件は起こった。
隣家の売却を任されている業界大手の某社が、私のメールに返信してきたのである。

「3ヶ月後はぜひ当社に」といった通り一遍の内容かと思ったら大違いだった。
隣家が、今まさに成約するところだというのである!

「成約前なので価格はまだ言えません」とのこと。しかし売り出し価格が超高額だったから、価格交渉が入ったとしても、成約額は相場より割高であろうと想像される。
「だから当社に依頼しておけばよかったのに」と言いたげだ。担当者のニヤニヤした顔が思い浮かぶ(実際に会ったことはないのだが)。

これはカマをかけてきているな、と直感した。

私は今日、隣家とほぼ同スペックの物件、いや隣家より条件のよい物件を、隣家より数百万も安く市場に放出した。
当然、隣家より先に売り抜けるという目論見でつけた価格だ。
SUUMO等の情報を見るに、隣家は3ヶ月近く売れ残っている。今日現在、まだ売れていないとしたら、我が家の売り出しを受けて、隣家の価格見直しは必至である。

そこで、隣家を担当する不動産屋は、前述のようなメールを送って私の動揺を誘い、売り出し価格の上方修正を促す――そんな作戦ではないかと睨んだ。

本当でした

ただ、本当に成約したという可能性も当然ある。
そこで、私が契約している不動産屋に一報を入れ、ウラをとってくれと依頼した。

すると、価格は不明ながら、「成約した」という情報はどうやら本当らしいということが分かった。
えーっ!
こちらが売却を始めた日に、隣家は成約だと!

ほどなく、隣家担当の不動産屋からも再度メールがあり、成約価格を聞くことができた。
我が家の売出価格を100とすると、隣家の売出価格は約108であった。それが約104で成約したとのことであった。
わずか4%とあなどるなかれ。4000万なら160万円の差である。
私はこの地域の相場をかなり研究したという自負がある。正直「この価格で買う人がいるんだ……」という驚きしかなかった。

そして、我が家が104で成約する可能性は0%である。

販売戦略を修正

隣家担当の不動産屋は、親切なのかお節介なのか、提案してきた。
「まだ情報が市場に浸透していない今のうちに、売出価格を100万ぐらい上げてもよいのでは?」

私には私の相場観がある。それに基づいて売出価格を決めたわけだから、今さら変えようとは思わなかった。
が、価格交渉に対する考えはちょっと変わった。

今回、私の売出価格には、あえて10万単位の端数をつけておいた。具体的には「4580万」のような数字である。
価格交渉を迫られた際、この端数80万を切って「4500万」で妥結しようという魂胆である。
元々、自分としての査定額は4500万なので痛くない。

しかし、隣家が相当な高額で成約したとなれば話は別だ。
中古不動産の相場は主に近隣の成約実績価格で決まる。だから隣家の成約価格は我が家の相場価格に大きく影響する。

隣家の成約価格、つまり相場からすると、私の売出価格は十分に割安である。だから価格交渉には応じない。
そういう基本方針でいこう、と考えを変えたのだ。

両手取引は買い主に不利だ

結局、隣家担当の不動産屋とはそこでメールのやり取りが途切れた。その後は全く話をしていない。が、未だ理解できない成約であった。
買い主がよほど物件を気に入ったのだとすれば文句のつけようもない。が、それにしても、買い主側の不動産屋はもっと値引き交渉するのが普通ではないのか。
当該の取引が両手であるとしたら、買い主は「dual agency」のデメリットをもろに被ったようにも見える。

のっけから出鼻をくじかれた格好になったが、この一件から分かったことは、相場に絶対はないということだ。
特に買い主が土地勘のない素人であれば、相場観がはっきりしていない。だから相場に対し±5%程度のブレは生じうるということがいえるだろう。

そして、そのブレを助長する要素の一つが「両手取引」なのではないか。
不動産屋としては、高く成約すればそれだけ仲介手数料が上がるし、売り主にも喜んでもらえる。買い主を除けばハッピーエンドとなるのである。

あえて、売り主と違う不動産屋に依頼してみるのはどうか?

だとすれば、買い主にも対策というものがある。
気に入った物件があった時、あえて売り主が媒介契約を結んでいる不動産屋とは別の不動産屋に仲介を依頼するのがよいのではないだろうか。

SUUMOで物件情報を見る。いいなと思ったらサイトに記載のある番号に電話をかけてみる。一見すると自然な流れだ。しかし、これは顧客に不利な両手取引へ自ら突っ込んでいく行為である。
SUUMOに載っている時点で、その売り物件は広く一般に公開されている。だから、どの不動産屋に頼んでも購入を仲介してもらえるのだ。その物件の情報を印刷して近所の不動産屋に話を持ち込んだ方が、両手取引とならず、後の価格交渉に期待が持てるのではないか?

以上、素人考えだが問題提起したい。

 

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