【実例紹介】売り出し中の空き家、どう警備する? 大手3社の対応は

  • 販売中の空き家のセキュリティ対策は? 短期でも警備会社と契約できる?
  • セントラル警備保障が、機器買い取りを条件に短期の契約に応じてくれた
  • 自分でウェブカメラを仕掛ける等、複合的な対策で心の平安を得よう

空き家を売っている皆さん。セキュリティに不安はないだろうか?
我が家はこの問題にかなり真面目に取り組んだので、そのノウハウをここで披瀝したい。

大本命セコムは門前払い

転居を間近に控えた頃、妻が「セコム入れない?」と言い出した。

空き巣被害も滅多に聞かないような長閑な地域ではある。
しかし近所の悪ガキが、ウチが空き家になったと知るや、敷地内に侵入してくるのでは?と心配したようだ。

そこまで心配しなくても――とは思ったものの、売却活動は長丁場になるかもしれない。
その間の心の平安を買うという目的で、検討することになった。

そもそも妻が「セコム」と名指ししたのは、最大手のネームバリューこそが重要と考えたからだ。
センサによる監視も確かに抑止力になる。しかし、誰でも知っているセコムの「警備中」シールを貼ること、それ自体にかなりの防犯効果があるだろうという目論見である。

そこでまずセコムに電話したわけだが、あっさり断られた。
契約期間は確か最低1年。数ヶ月で解約する可能性が高いということだと、そもそも契約を受けられないというのである。
最低1年というのであれば、1年分の料金を前払いするという条件で受けてくれればいいようなものだが。手間の割に儲からない短期の客には興味がないということだろうか。

ともかく、ダメなものはダメなので、他の警備会社を探してみることにした。

短期間の警備は不採算?

今回、警備の対象は空き家、期間は数ヶ月程度である。

空き家を対象としたサービスとしては、大手各社が「月に1回程度、空き家を巡回点検する」といったメニューを用意している。
しかし、私たちの「常時見張ってほしい」というニーズには合致しない。

ALSOKが、上記のような「るすたくサービス」のオプションとして「るすたくセキュリティ」というのをやっている。これにはセンサによる警備も含まれるのでニーズに合致する。
ただ、FAQによると契約期間は1年だそうで、セコムと同じ回答が予想される。(ただし私は実際に問い合わせていないので、ある程度は融通が利く可能性もある。興味がある方は自分で問い合わせていただきたい。)

一方、短期間という観点では、セントラル警備保障が「留守宅ガード」と称した短期ホームセキュリティ商品を出していた。
今回のニーズにドンピシャな内容なのだが、惜しいことに2019年1月末で新規受付を終了している。
やはり採算性に難があったということだろうか。

セントラル警備保障は柔軟な対応

これぞというサービスが見つからないまま、セントラル警備保障に電話をかけてみた。
「留守宅ガード」にはもう加入できないが、短期の警備について、何らかの代替策があるのではないかと考えてのことである。

事情を話すと、折り返し、地域の営業担当から連絡が来た。
機器を買い取るなら対応できます」との返答であった。

気になるのは機器の価格だが、結果的に、センサ4台とコントローラで約11万円となった。
正直言って、数ヶ月の警備に対してこの価格は高い。
ただ、機器の代金としては「こんなものか」という価格である。

他に選択肢もないので、この時点で契約は内定。
間取り図を送ってセンサの配置を検討してもらい、後日、現地へ来てもらうことにした。

空き家に合わせた軽装備

転居の3日後。ハウスクリーニングが終わったところへ、営業担当者を呼んだ。

まず、警備対象が空き家なので、センサの数は最低限でよかろうという有り難い提案があった。

セントラル警備保障の場合、センサの種類は「空間センサ」のほかに「開閉センサ」「火災センサ」がある。
開閉センサは、窓枠などに取り付けて開閉を見張るというものだ。素人でも思いつく「定番商品」といえるが、今回これは省略した。誰かが窓を開けるということは、その後すぐ侵入するということである。住人がいないのだから、窓が開いた時点であわてて逃げる必要もない。侵入した時点で検知すれば十分ではないか、という発想である。
火災センサも、火元がないという理由で省略した。

結局、設置したのは空間センサだけになった。
これにしても、空き家なので家具などの障害物がなく、少数で広範囲をカバーできるという。
2階に至っては階段付近に1台のみ設置することとした。さすがに1台では2階の全部屋をカバーすることはできないが、「2階から侵入した場合、いずれ1階へ行くはずである、そこで検知すればよい」という理屈だ。

さらに、センサは単に床置きするだけとし、固定は行わないことになった。「これから売る物件に跡が残るのは嫌でしょう」という有り難い配慮だ。
居住中なら誰かが蹴飛ばしそうなものだが、空き家だからこれでいい。跡が残らない上、工事費もかからない。

家屋の外の警備は難しい

当初、私たちは家の中(住宅内への侵入)より家の外(敷地内への侵入)を気にしていた。しかし家の外を見張るセンサは、標準的な一般家庭用としてはラインナップにないようだった。

家の外を監視カメラで見張ることも考えていた。が、相談したところ、「ウチで設置するとかなり高価になるので、ホームセンターで買ってきてDIYで設置するのが現実的では」とのこと。商売っ気のない回答ではあるが、自分の意見と合致したので納得。

営業担当といっても「強引に売る」ということはなく、総じてこちらのニーズに応じた提案をしてくれたと思う。

なお、これと並行して、自前でカメラを設置する検討も少ししていた。こういうことに詳しい職場の人から薦められたのがTP-Linkの製品。変化検知でアラートを送信してくれるという。実際には設置しなかったが、もし設置するとなればこういう製品になったと思う。

工事完了は3週間後

以上のようなやり取りを経て、数日後、正式な見積を受領。その後すぐに契約を行った。
ちなみに月々の料金は約3000円である。

さらにしばらく後、センサ類の設置を行ってもらい、警備が開始となった。
前述のとおり、センサは床に置くだけなので、工事らしい工事はなし。コントローラも床置きだ。

今、当時のカレンダーを見直したところ、転居からホームセキュリティの開始まで、約3週間かかっていた。
どの段階で時間を要したのか、それはもう忘れてしまった。しかし結果的に、セキュリティのない「空白期間」が3週間もあったわけだ。最初からホームセキュリティを入れるつもりなら、転居前から現地を見てもらっておく必要がありそうだ。

ネット回線は残しておこう

おっと、大事な話を忘れていた。
空き家の警備を行う際、事前に検討しなければならないのが通信回線の確保だ。

当たり前だが、センサで異常を検知した際、それを司令室に送るための通信手段が必要になる。
一昔前なら電話回線を用いていたが、今時はインターネット回線が主流である。ひょっとしたら、携帯電話網で通信する機種(SIMカード内蔵)もすでに出ているかもしれない。

閑話休題、我が家(旧居)では、インターネット回線として「auひかり」の戸建て向けプランを利用していた。
オプションのIP電話を含めると月6000円弱と結構な料金になる。引越が決まった時点で、月末での解約を申し込んでいた。

通信回線について、セントラル警備保障の営業担当者に質問したところ、「インターネット回線があれば大丈夫だが、インタフェースは有線LAN接続に限る」とのこと。
これを聞いて、auひかりの解約をあわてて撤回した(IP電話オプションは解約した)。幸い、まだ間に合うタイミングであった。

携帯電話網で代用する案も

かりにインターネット回線が用意できない場合、どうするか。携帯電話網を用いた、いわゆる「WiFiルータ」のようなものを契約し、クレードルを使用するなどして有線LANの口を用意するしかないと思う。

契約期間がハッキリしないという前提で、今ちょっと考えたところでは、↓のようなルータを購入し、データ通信専用の格安SIM(短期解約でも違約金の発生しないものを選ぶ)を挿す、というのがリーズナブルな解決策だろう。

これだと初期費用(ハード代)が15000円程度。ランニングコスト(格安SIMの料金)が月500円程度で済む。
何だ、最初からこの案にすればよかったじゃないか。

ただ、光回線とLTEでは信頼性(通信の途切れにくさ)が違う。LTE回線の品質が今回の用途に対して十分なのか、それは分からない。
ホームセキュリティの場合、通信途絶で即「異常発生」と見なされる可能性が高い。回線断のたびに電話で呼び出され「どうしましたか?」と聞かれたのではたまらない。
その意味ではやはり、空き家で光回線を確保できたことは幸運だったと思う。

一方で、ホームセキュリティだけのために光回線を維持するのは不経済だ。我が家では、月々の警備料金が約3000円のところ、光回線の料金が月5000円を超えるという妙なことになっていた。うまくいかないな。

ホームセキュリティは何を監視する?

以上のように、私たちは空き家の警備のためにホームセキュリティに加入した。
初期費用が約11万円、ランニングコストが月1万円弱。かなりのコストをかけて空き家を警備していたといえる。しかし今、振り返って考えると、精神衛生上、無駄ではなかったと思う。

事前の予想どおり、売却活動をしている間に警備員が緊急出動するという事態は一度もなかった。
おそらくホームセキュリティがなくても、侵入者はいなかっただろう。

不動産屋の働きも監視できる!

しかし、空き家に出入りする者はいた。
不動産屋とその客である。

ホームセキュリティを導入することで、期せずして、不動産屋の営業活動を監視することが可能になったのだ。

セントラル警備保障では、侵入者があった場合にメールで通知してくれる。のみならず、正規の手順で警戒設定・解除が行われた場合にも通知してくれる(無料)。

ということは、不動産屋が営業活動のために出入りするたび、セントラル警備保障からメールが届くのである。(当然ながら、不動産屋にはセキュリティの解除・設定方法を教えておいた。)

不動産屋は、内見などで立ち入る際に、必ず事前に連絡をよこしてくれる。
一方で私は、ホームセキュリティの設定・解除通知で「実際に誰かが立ち入ったこと」を把握できる。
この二つの情報を照合することで、かなりの安心感を得ることができるのだ。

ここでいう「安心感」とは、「不動産屋が連絡もなく立ち入ること」の検出というより、「不動産屋が、立ち入ると言っていたのに、実際には立ち入っていないこと」の検出である。
不動産屋が頻繁に「明日、内見のため入室します!」という報告をしてくる。しかしこれは嘘で、単なる「仕事してますアピール」なのではないか? そういう疑念を、ホームセキュリティにより払拭できるのだ。

いずれ監視カメラが欲しくなる?

ただ、不動産屋が内見のふりをして空き家に入り、1時間ほど昼寝をして帰っていく――という悪事を働いても、さすがにホームセキュリティでは検出できない。

普通の人の感覚では、さすがにそこまで心配する必要はないと考えるだろう。自分自身も初めはそうだった。
しかし販売活動中、内見は頻繁に入るのに、全く商談が進まない時期があった。その頃の私は「不動産屋を監視するためにカメラを設置しようか?」と真剣に検討していた。

結局そのような仕儀には至らなかったが、販売活動が長引けば長引くほど、不動産屋に対する不信感が募ることは確かだ。
そしてその不信感を、ホームセキュリティなどの監視機器がいくらか和らげてくれる――それもまた事実である。

 

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