【罠】仲介手数料の割引は更新できない!?

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  • 仲介手数料「半額」の媒介契約は、「半額」のまま契約を更新できるのか?
  • 実際には半額で更新できたが、法令や約款を読む限り、不動産屋の意向次第か
  • 媒介契約の更新は販売テコ入れのチャンス

販売活動開始後の1ヶ月半で、購入希望者の内見が4件あった。
しかし、いずれも進展せずに終わった。正確には「検討中」で連絡が途切れている人もいるが、望み薄と考えた方がよい。

さて、今後どうなるか――と風呂の中でぼんやり考え事をしていた時、媒介契約の更新について「まさか……」という心配事を発見してしまった。

今回、仲介手数料を半額にしてもらっている。しかし3ヶ月過ぎた段階でこの割引が無効になる可能性があるのだ。

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契約は3ヶ月更新、その際に契約内容は変えられる?

専任媒介契約の契約期間は最長3ヶ月間と定められている(宅地建物取引業法第34条の2 第3項)。
3ヶ月以内に売れなければ契約を更新することになる。
この条項の本来の目的は、素人である売り主の保護だと思われる。悪徳不動産業者から3ヶ月以内に逃れる術を売り主に与えるというわけだ。
3ヶ月は契約期間の上限であり、もっと短期間でもいい。しかし特に理由がない限り、大体の人は期間「3ヶ月」で専任媒介契約を結ぶ。

ということで、専任媒介契約では3ヶ月ごとに契約更改のタイミングが訪れる。
契約の更改なのだから、更改と同時に契約内容が変わってもよいように思える。

たとえば不動産業者の働きがよくない場合。客は、このタイミングで「他社に移るぞコラ!」と一喝し、より有利な条件を引き出すことが可能だろう。

しかし逆もあり得るのではないか?

今回、私は「仲介手数料50%割引」という破格の条件で専任媒介契約を結んでいる。
割引の件は契約書にも記されているので安心だが、この契約は3ヶ月で切れる。

もう、何が言いたいかお分かりだろう。
契約更改の際に、不動産業者が仲介手数料50%割引を撤回する可能性があるのだ。

半額で釣って満額払わせる「罠」か?

もしこれが成立するのであれば、手口としてはよくできている。

不動産屋は、安い仲介手数料で売り主を釣って契約させる。
契約後は、3ヶ月にギリギリ収まらないよう営業活動を進める。専任媒介契約が切れる時点で商談中となっていれば、売り主としても不動産業者を替えるわけにいかない。自分の不動産を「人質」にとられているようなものだ。
ここで不動産屋が「契約更改後は、手数料を本来の額とします。嫌なら契約更改しません」と言ってくる。
売り主としては、売買契約の成約を目前にしているから仕方なく専任媒介契約を更改し、ここで仲介手数料が本来の額に戻る。
不動産業者は本来の仲介手数料を得られてめでたしめでたし。

注意深く事を進めていたつもりだったが、まさか、こんな手口があろうとは!

法令・約款はどうなっているのか

あわてて根拠法令や約款に当たってみた。上記のような状況はさすがに心配しすぎのような気もするが、一抹の不安は残る。

宅建業法

まず、宅地建物取引業法第34条の2 第4項には「有効期間は、依頼者の申出により、更新することができる」とある。つまり、依頼者の意志で「有効期間」を更新できる。
「有効期間」の更新であり「契約」の更新ではない。契約内容を変えずに有効期間のみを更新することが、依頼者(売り主)の意志により可能と読める。

今の不動産屋の約款

一方、私が実際に契約している不動産業者の「専任媒介契約約款」には、「有効期間は依頼者と不動産業者の合意に基づき更新できる」「別段の合意がない場合は、従前の契約と同一内容の契約が成立したものとみなす」とある。

約款の方にだけ「依頼者と不動産業者の合意に基づき」とあるのが気になる。が、まっとうな約款であれば、宅建業法の規定を逸脱していることはあり得ない。
宅建業法の方も「申し出があれば、不動産業者は必ず有効期間を更新しなければならない」とまでは言っていない。「更新することができる」という規定だ。だから契約の基本原則に従い、双方が合意すれば期限の延長をすることができる、と読むのだろう。

素人の結論

この解釈が正しいとすると、不動産業者が「仲介手数料の割引を継続するという条件では、専任媒介契約を更新できません」と主張した場合に、有効期間の更新は不可能となる

もし、今まさに買い主候補と交渉中、というタイミングで専任媒介契約の期限が切れるとする。ここで不動産業者が「仲介手数料の割引はもうできません」と言ってきたら、売り主としては結構苦しい。

以上は素人の解釈なので、どこかに読み落としがあって結論が間違っているかもしれない。
しかし現段階で、上記のような懸念を100%払拭するだけの材料もない。

売り主にも「更新しない自由」がある

ただ、こちらにもカードがないわけではない。不動産業者の乗り換えだ。
3ヶ月経過した時点でこちらが不動産業者を乗り換えれば、元々の会社は、これまでかけてきた営業費用が全部無駄になる。

幸か不幸か、今は有望な買い主が全くいない状況だ。
このまま3ヶ月目が過ぎていくようであれば、きりのいいところで営業活動を打ち切ってもらい、別の会社と媒介契約を結び直すことにしようと思った。

他の不動産会社とは最近連絡をとっていないが、今後も縁があるかもしれないと思い、有望そうな数社には「今後何かありましたらよろしく」と挨拶をしてある。
大手S社とは「仲介手数料半額」で交渉決裂となった。が、たとえば3割引ぐらいならOKだったかもしれない。「現に今、手数料半額の会社と契約している」と切り出せば、他社でも仲介手数料の値引きを引き出すことは可能だと思われる。

ついに担当者を直撃! その回答は……

以上は私の勝手な想像であり、今回の不動産業者が実際にどう考えているかは分からない。

悩んでいてもしょうがないから担当者に聞いてみようと思った。が、その矢先「金曜と日曜に内見の予定が入りました!」という連絡があり、ひとまず言葉を飲み込んだ。

そして土曜日。「金曜日に内見した人は、家族の意見が合わずボツ。日曜日に予定されていた二度目の内見はキャンセルになりました」というガッカリなメールが来て、ついに核心に切り込むことにした。

「2ヶ月を過ぎたが、この調子だと媒介契約の期間内に成約しない可能性が高い。何らかの見直しをかける必要があると考える。かりに専任媒介契約を更新すると、仲介手数料半額という条件は維持されるのか?」

条件次第では他社への乗り換えもあり得るぞ、という姿勢を匂わせたつもりである。

どういう答えを返してくるかと注目していたら、「仲介手数料半額は3ヶ月で終了するわけではない」とのこと。
メールのやりとりなので言質を取ることができた。

乗り換えをちらつかせたからというわけではないだろうが、日曜日、当初とは別の人が内見に入るとの連絡も同時に入った。

 

そして数週間後、無事、手数料半額のまま契約は更改された。
いや無事ではない。ここ3ヶ月弱の内見はことごとく無駄になっている。

 

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