持ち家の売買、値引き交渉の現場はこうなっている

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  • 不動産屋から電話で呼び出しを食らったら値引き交渉のサイン
  • 想定以上の値引きを求められたが、諦めて応諾
  • 両手取引では、不動産屋は交渉を頑張ってくれない

SUUMOでの扱いが格下げとなり、いよいよ手詰まり感が強くなってきた4月のある日。
相変わらず内見だけは多く入っていた。が、そのたびに「残念ながら」という結末で、いい加減に飽き飽きしていた。

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わざわざ対面で話すことといえば……?

そんな中、嬉しいが妙なメールが届いた。

曰く「月曜日にご案内したお客様に、本日、申込していただきました」。ローンの事前審査申請も行ったというから本気だ。
おっ!と身を乗り出すところだが、メールには続きがあった。曰く、
「できればお会いしてご報告したいと思います」。
いやいや、別にメールで情報は伝わってるでしょ。

しばらく考えて、何となく用件の予想がついた。
値引き交渉だろう。

元々、価格には1.5%ほどの「切りしろ」をつけてあった。つまり多少の値下げは想定内である。
どこまでだったら値下げに応じていい?と、妻と相談してから、最寄り駅近くの喫茶店に出向いた。

値引き交渉の現場はこんな感じ

行ってみると、用件は予想どおりの内容だった。
ただ、希望値下げ幅は予想を超えており、約3.5%。一応、これでも買ったときの価格よりは高い。

妻からは全権委任されていたので、私の一存で決めてよい。しかし、それにしても、ちょっと引きすぎではないのか?という印象だ。

謎のシステムで独自査定だと?

担当者曰く、「お客様は、何らかのシステムを使って独自に価格調査をされているようで、この価格でないと割高感があるとおっしゃっています」。
結局、そのシステムとやらが何なのかは、今に至るまで分からないままだ。しかし一般論として、今後「AI査定」のような仕組みが一般消費者向けに提供されるようになることは想像に難くない。そうしたサービスをどこかで見つけて利用したのかもしれない。
以下の記事で紹介したシステムも候補の一つである。

結局は両手取引だった

この時点では分からなかったのだが、今回の「買い主候補」は私と同じ不動産会社へ仲介を依頼していた。つまり両手取引である。
こうなると、価格交渉という点で不動産会社の頑張りにはあまり期待できなくなる。

まず売り主のエージェント目線で考える。ここで成約を逃して次の客が「片手」だったら(不動産屋が)大損だ。だから、とにかく価格交渉を決着させて契約に持ち込みたい。そういう意志がエージェントである不動産屋に働く。したがって、売り主としては価格交渉に期待が持てない。

また、買い主のエージェント目線で考えても問題がある。高額で成約した方が仲介手数料が高くなるからだ。だから買い主としても、やはり不動産会社の値下げ交渉には期待できない。
もっとも、これは片手であっても同じである。当初価格からの値引きについて、「値切った額の30%は手数料として不動産会社がもらう」といったインセンティブがないと、買い主側のエージェントは頑張らないだろう。

決断

数十秒考えたが、結局は値下げに応じることにした。交渉妥結である。

この数ヶ月、内見こそ多く入っていたが、「本当に内見してるの?」と思うほど反応が悪かった。このまま続けていてもジリ貧なのではないか、と思い始めていたからだ。
仲介手数料が通常の半額に値引きされていたので、そこで多少は取り戻したのだ、と自分を納得させることにする。

不動産屋の問わず語りを聞く会

方針を伝えたところで、担当者の雑談が始まった。意地悪な見方をすれば、「売り主のエージェント」としての責務を一部放棄したという、自らの後ろめたさを覆い隠すための問わず語りだったようにも思う。なので、内容については話半分で聞いた方がよいと思う。

おおむね以下のようなことを言っていた。

なぜ、内見が多いのに売れないか

我が物件、内見数だけは多かったのだが、なかなか成約に至らなかった。
この理由として、地元の客が少なく、より都心寄りからの客がほとんどだったということを挙げていた。
そうした客は、不動産の価格高騰で都心寄りの物件に手が出ない。仕方なく郊外まで物件を見に来たものの、土地勘がないので決め手に欠ける。しかも「ここに住みたい」という積極的な動機もない。だから他物件も含め、内見数の割には成約に至る件数が少ないというのだ。
では地元の客はなぜ動かないのか? すでに確立された相場観があるので、現在の価格は高すぎて買う気にならない、ということらしい。確かにこれは分かる。築10年超の我が家が、買ったときより高く売れるというのはちょっと信じ難い。

また今回の価格交渉の相手は、今のところ我が家より郊外側に住んでいるが、駅までの距離が我が家よりずいぶん近いため、もし今回成約して引っ越すと通勤時間が長くなる。そこに不満があるらしい。そういう不満も今回の値下げ要求に含まれているのかもしれない。

高額で売れた隣家は「マグレ」?

ここから先はさらに信憑性が下がる気がするのだが、生の営業トークをメモする意味で記しておく。

まず、隣家がかなりの高額で成約したことについて。隣家の担当業者の人と雑談したらしいのだが、「あれはマグレです」という話で一致した――んだってさ。隣家成約の話は別記事に書いたとおり。

まあ確かに、私も首をひねるような価格ではあった。が、貴重な成約事例である。今回、両手取引じゃなかったら、この価格を引き合いに出してもう少し価格交渉を頑張ったんじゃないのアナタ、と言いたくなる。

不動産相場は今が天井!?

あと、不動産価格の高騰は一段落し、すでに成約額は下落傾向にある――んだってさ。要するに「今、売れたのはよかったですよ」と言いたいのだろう。
しかし私自身は、この話を聞いた時点で特に下落傾向を感じていなかった。また、その後数年を経た今、元・自宅付近の物件を見ると、相場が500万程度は上がっているように見えるので、結果的には嘘である。もう少し待ってから売り出せば、それこそ隣家と同じ価格で売ることもできただろう。
ただ、私たちは儲けを出すことが目的ではなく、あの時期に家を売りたかった。だから、マクロな相場についてはどうこう言っても仕方がない。また、高額を提示したまま販売活動を2年、3年と続け、その間に相場が上がってきたとしても、物件の鮮度が落ちており、なかなか成約には至らないと想像する。

ともかく、値下げ交渉に応じた結果、ようやく売却活動は先へ進むことになったのである。

 

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